問54 2014年1月応用

問54 問題文と解答・解説

問54 問題文

《設例》の〈X社の財務データ〉に基づくX社の理論株価に関する以下の文章の空欄(1)〜(3)に入る最も適切な語句または数値(計算結果は円未満を四捨五入すること)を,解答用紙に記入しなさい。なお,(予想)配当金額は,実績値と同額と仮定すること。

「配当割引モデル」では,株式の内在価値は,将来,受け取る配当の現在価値の総和として計算される。したがって,今後,一定の金額の配当を支払い続ける企業の株式の1株当たりの内在価値は,1株当たり(予想)配当金額を( 1 )で除する配当割引モデルによって算出することができる。たとえば,X社株式の発行済株式総数が5億株,X社株式に対する( 1 )が3.50%であるとすると,31期におけるX社株式の1株当たりの内在価値は,( 2 )円である。

他方,「定率成長モデル」は,長期的には配当金総額と利益総額が一致して定率の成長をするという前提のもと,株式の内在価値を求める理論である。「配当割引モデル」の算式を基に,内部成長率などで代用される期待成長率も使用した定率成長型のモデルによって算出することができる。たとえば,X社株式の発行済株式総数が5億株,X社株式に対する( 1 )が3.50%,期待成長率が1.00%であるとすると,31期におけるX社株式の1株当たりの内在価値は,( 3 )円である。

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問54 解答・解説

株式投資における企業の財務分析に関する問題です。

「配当割引モデル」とは、将来投資家が得る配当を予想し、その合計を現在価値に割り引いて、現在の理論株価を求めようとするモデル のことです。

問題文の、「一定の金額の配当を支払い続ける企業」とは、配当割引モデルの中でもゼロ成長モデルと言われるもので、一定の配当金が未来にわたってずっと続くと仮定して算出する方法です。
ゼロ成長モデルの理論株価(内在価値)=1株当たりの配当金額÷期待利子(割引)率
で算出できます。
※期待利子(割引)率とは、現在価値と将来価値を換算する利率です。
よって、(1)の正解は、期待利子率(割引率)。

(2)は、X社の配当金総額は2,520百万円で、発行済株式総数が5億株ですから、
1株当たりの配当金額=2,520百万円÷500百万株=5.04円
理論株価=5.04円÷3.50%=144円
よって、(2)の正解は、144。

また、問題文の、「配当が定率で増えていく企業」とは、配当割引モデルの中でも定率成長モデルと言われるもので、一定の割合で配当金が増加すると仮定して算出する方法です。
「定率成長モデル」では、予想配当や予想利益を、期待割引率から期待成長率を控除した値で除して、株式の内在価値(理論株価)を求めます
定率成長モデルの理論株価(内在価値)=予想配当or予想利益÷(期待割引率−期待成長率)
で算出できます。
問題文では「(予想)配当金額は,実績値と同額と仮定すること。」とありますので、X社の配当金総額2,520百万円を予想配当金額と仮定します。
X社の発行済株式総数が5億株ですから、
1株当たりの配当金額=2,520百万円÷500百万株=5.04円
理論株価=5.04円÷(3.50%−1.00%)=201.6円≒202円(円未満四捨五入)
よって、(3)の正解は、202。

以上により正解は、(1)期待利子率 (2)144 (3)202

第2問          問55

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