問8 2014年9月実技(資産設計)
問8 問題文
香さんは、遺族基礎年金が夫にも支給されるようになったと聞いて、万が一自分が死亡した場合の遺族給付について、FPの野村さんに質問をした。香さんが第二子を出産してから1年後の平成27年11月(厚生年金保険加入中)に死亡した場合、夫の卓也さん、子の明人さんおよび第二子に支給される公的年金の遺族給付に関する図(イメージ図)として、正しいものはどれか。なお、死亡した者の配偶者および子に対する遺族年金の支給は下記<資料>に基づくものとし、生計維持要件は満たしているものとする。また、明人さんおよび第二子は2級以上の障害状態にはないものとする。
<資料>
[遺族基礎年金を受給できる配偶者および子]
●配偶者:死亡した者の子と生計を同じくしていること。
●子 :18歳到達日以後の最初の3月31日までの間にあること。子に対する遺族基礎年金は、配偶者に遺族基礎年金の受給権があるとき、または生計を同じくするその子の父もしくは母があるときは、その間、支給停止される。
[遺族厚生年金を受給できる配偶者および子]
●配偶者:夫は、妻死亡時に55歳以上であること。妻については、年齢要件はない。
夫に対する遺族厚生年金は、60歳に達するまでの間、支給停止される。ただし、夫に妻の死亡による遺族基礎年金の受給権があるときは、支給停止されない。
●子 :18歳到達日以後の最初の3月31日までの間にあること。子に対する遺族厚生年金は、配偶者に遺族厚生年金の受給権があるときは、その間、支給停止される。
問8 解答・解説
遺族基礎年金・遺族厚生年金の支給要件・支給対象に関する問題です。
遺族基礎年金や遺族厚生年金の支給を受けるには、いずれも被保険者が、20歳〜死亡月の前々月までの期間のうち、納付済期間と免除期間の合計で3分の2以上、年金保険料を納付している必要があります。
ただし、平成38年3月31日までに65歳未満で死亡した場合は、死亡月の前々月までの1年間に未納期間がなければOKです(以前は平成28年3月31日まででしたが、10年延長されました)。
また、遺族基礎年金は、子供や子供のいる配偶者が支給対象で、支給要件は以下全てを満たすことが必要です(以前は母子家庭向けの制度でしたが、父子家庭にも支給されるようになりました)。
●配偶者の場合:被保険者(夫・妻)が死亡した当時、生計維持関係にあり、子どもと同一生計。
●子の場合 :被保険者(父・母)が死亡した当時、生計維持関係にあり、18歳未満(18歳到達年度末まで可)、または20歳未満で障害有り。かつ、結婚していない。
遺族基礎年金は、配偶者と子それぞれ別個に受給権が発生しますが、配偶者に対する遺族基礎年金が優先して支給されます(子に対する遺族基礎年金は支給停止)。
これに対し、遺族厚生年金の支給対象は、死亡した被保険者によって生計を維持されていた「配偶者および子、父母、孫、祖父母(←支給順位順)」で、最高順位の者以外には受給権がありません。
また、妻以外の遺族の場合、子・孫は18歳未満(18歳到達年度末まで可)または20歳未満で障害有り、夫・父母・祖父母は55歳以上(支給は60歳から)が支給対象です。
よって本問の場合、香さん死亡時、夫の卓也さんは37歳のため遺族厚生年金の支給対象とならず、子供に支給されます(第二子の18歳到達年度末まで)。
また、遺族基礎年金は「子のある配偶者」である夫の卓也さんに支給され、第一子の18歳到達年度末までは子の加算2人分、それ以降第二子の18歳到達年度末までは子の加算1人分となります。
以上により正解は、3.
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