問51 2014年9月応用
問51 問題文
Ａさんが，60歳に達するまで国民年金の保険料を納付した場合，65歳から受給できる公的年金制度からの老齢給付の金額について，次の(1)，(2)を求めなさい。〔計算過程〕を示し，〈答〉は円単位とすること。年金額の端数処理は，50円未満を切り捨て，50円以上100円未満は100円に切り上げるものとし，計算過程における端数処理は，円未満を四捨五入すること。
なお，計算にあたっては，《設例》および以下の〈資料〉を利用し，年金額は，平成26年度価額（物価スライド特例措置による金額）に基づいて計算するものとする。また，資料中の「□□□」は，問題の性質上，伏せてある。
(1) 老齢基礎年金の年金額はいくらか。
(2) 老齢厚生年金の年金額はいくらか。
〈資料〉
「老齢厚生年金の額＝(報酬比例部分の額＋経過的加算額)＋加給年金額(注)」
・報酬比例部分の額＝(平均標準報酬月額×乗率×平成15年３月以前の被保険者期間の月数＋平均標準報酬額×乗率×平成15年４月以後の被保険者期間の月数)×1.031×□□□
報酬比例部分の給付乗率（1,000分の）
総報酬制導入前・・・新乗率：7.125 旧乗率：7.5
総報酬制導入後・・・新乗率：5.481 旧乗率：5.769
・経過的加算額＝1,676円×被保険者期間の月数×□□□－□□□円×{昭和36年４月以後で20歳以上60歳未満の厚生年金保険の被保険者期間の月数／(加入可能年数×12)}
（注）配偶者の加給年金額386,400円は，要件を満たしている場合のみ加算すること。
問51 解答・解説
老齢基礎年金・老齢厚生年金の支給額に関する問題です。
老齢基礎年金額の計算式は、以下の通りです。
老齢基礎年金=満額の基礎年金×(納付済月数＋免除分調整月数)／(加入可能年数×12)
まず、平成26年度の満額の基礎年金額は、772,800円。
Aさんには免除期間がなく、納付済月数は厚生年金と国民年金の被保険者期間の合計として、138月＋239月+117月＝494月ですが、これは20歳前の厚生年金の被保険者期間も含んでいます。
老齢基礎年金は、20歳～60歳までの40年間（480ヶ月）が加入可能年数の上限となります（昭和16年4月2日以降に生まれた場合）。
Aさんは、20歳から60歳まで免除期間や未納期間等がなく、全て納付しているため、老齢基礎値年金における納付済月数は480ヶ月です。
以上により、
Ａさんの老齢基礎年金＝772,800円×480月／(40年×12)
＝772,800円
従って、(1)老齢基礎年金の年金額は、772,800円
次に、老齢厚生年金の報酬比例部分の計算式は以下の通りです。
報酬比例部分＝(Ⅰ＋Ⅱ)×1.031×0.961（注）
Ⅰ：平均標準報酬月額×乗率×平成15年３月までの被保険者期間の月数
Ⅱ：平均標準報酬額 ×乗率×平成15年４月以後の被保険者期間の月数
（注）平成25年度3月まで0.968 ⇒ 平成26年度は0.961に変更
よってＡさんの報酬比例部分の年金額は、
＝(260,000円×7.5/1,000×138月)×1.031×0.961
≒266,622円（円未満四捨五入）
次に経過的加算額ですが、これは定額部分の年金額と老齢基礎年金の差額です。
定額部分の年金は、生まれた年によって、被保険者期間の月数の上限が異なります（444月～480月）が、Aさんの厚生年金の被保険者期間は、138月ですので、そのまま138月として計算します。
また、経過的加算額の算出において、基礎年金相当部分は「昭和36年４月以後で20歳以上60歳未満の厚生年金の被保険者期間」ですから、Aさんの厚生年金の被保険者期間138月のうち、20歳前の14月分は除かれます。
よって計算式は
＝1,676円×138月×0.961－772,800円×(138月－14月)／(40年×12)
≒22,628 円（円未満四捨五入）
よって、報酬比例部分と経過的加算を合わせた基本年金額は、
266,622 円＋22,628 円＝289,250 円→ 289,300 円（50 円以上切上げ）
最後に配偶者の加給年金は、厚生年金の被保険者期間が20年以上で、65歳未満の配偶者がいる場合には、老齢厚生年金に加給年金が加算されますが、Aさんの厚生年金の被保険者期間は138月（11年6ヶ月）のため、加給年金の支給対象外です。
よって、Aさんが受け取る(2)老齢厚生年金額は、289,300 円 です。
以上により正解は、(1)772,800（円） (2) 289,300（円）
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