問9 2015年9月基礎
問9 問題文
生命保険の契約者保護に係る規制等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1) 生命保険契約者保護機構の補償の対象となる生命保険契約は、運用実績連動型保険契約の特定特別勘定に係る部分を除いた国内における元受保険契約で、高予定利率契約を除き、保険会社破綻時の保険金・年金等の額の90%までが補償される。
2) 国内で事業を行う少額短期保険業者は、保険業法の規制の対象となるが、生命保険契約者保護機構の会員ではないため、その補償の対象とならない。
3) ソルベンシー・マージン比率は、保険会社が、通常の予測を超えて発生するリスクに対し、どの程度の保険金等の支払余力を有しているかを示す指標であり、この値が200%を下回った場合には、金融庁による業務改善命令などの早期是正措置の対象となる。
4) EV(エンベディッド・バリュー)は、保険会社の企業価値・業績を評価する指標であり、貸借対照表などから計算される修正純資産と保有契約に基づき計算される保有契約価値を合計して算出される。
問9 解答・解説
保険契約者保護に関する問題です。
1) は、不適切。生命保険契約者保護機構の補償対象は、国内の元受保険契約であり、責任準備金の90%まで補償されます(高予定利率契約等を除く)。
※元受保険:ある保険に再保険がかけられている場合の、元々の保険契約のこと。
※責任準備金:保険会社が将来の保険金や給付金を支払うために積み立てているお金。
なお、再保険や運用実績連動型保険契約の特定特別勘定部分は、補償対象外です。
再保険とは、簡単に言えば保険会社が破綻しないように、保険会社自身が加入する保険です。
運用実績連動型保険契約の特定特別勘定部分とは、最低保証のない保険契約の特別勘定部分(運用資産)です。
普通の保険契約部分は補償するけど、運用部分は補償しないよ!ということですね。
2) は、適切。少額短期保険業者は、保険業法上の規制対象ではありますが、保険契約者保護機構の対象外のため、少額短期保険業者が破綻すると、被保険者の死亡により発生する保険金であっても、生命保険契約者保護機構からは補償されません。
3) は、適切。ソルベンシー・マージン比率とは、大規模災害等の通常の予測を超えて発生する損失に対し、保険会社が有する支払余力を示す指標で、200%を超えていれば、リスクに対する支払余力が十分にあるとされますが、下回ると金融庁による早期是正措置の対象となります。
4) は、適切。エンベディッド・バリュー(EV)は、生命保険会社の企業価値・業績をあらわす指標で、貸借対照表等から計算される「修正純資産」と、保有契約に基づき計算される「保有契約価値」を合計して算出されます。
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