問65 2015年9月応用
問65 問題文
遺言および長男Cさんに対するX社株式の贈与に係る特例等に関する以下の文章の空欄(1)〜(6)に入る最も適切な語句または数値を、解答用紙に記入しなさい。
T 民法に定める遺言の方式には普通方式と特別方式があり、普通方式には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言がある。公正証書遺言とは、証人( 1 )人以上の立会いのもと、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がこれを筆記して作成するものである。
U 長男Cさんが、Aさんから贈与を受けるX社株式について「非上場株式等についての贈与税の納税猶予」の適用を受けた場合、長男Cさんが納付すべき贈与税額のうち、猶予対象株式等に対応する贈与税の全額の納税が猶予されるが、納税猶予の対象となる株式の限度数は( 2 )株となる。
長男Cさんが本特例の適用を受けるためには、贈与時においてX社の代表権を有し、かつ、役員等の就任から( 3 )年以上経過しており、特別の関係がある者と合わせた議決権数の合計がX社の総議決権数の( 4 )%を超え、かつ、これらの者のなかで最も多くの議決権数を有していなければならない。
V 長男Cさんが、Aさんから贈与を受けるX社株式について「遺留分に関する民法の特例」の適用を受けた場合、贈与を受けたX社株式について、その価額を遺留分を算定するための財産の価額に算入しない、または遺留分を算定するための財産の価額に算入すべき価額を( 5 )の時における価額に固定することができる。
長男Cさんが本特例の適用を受けるためには、妻Bさんおよび長女Dさんと書面によって合意し、経済産業大臣の確認を受けたうえで、( 6 )の許可を受ける必要がある。
問65 解答・解説
遺言書・贈与税の納税猶予の特例・遺留分に関する問題です。
T 普通方式による遺言は、「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」の3種類で、公正証書遺言は、公証人役場で証人2名以上の立会いのもと、公正証書で遺言を作成することが必要です。公証人は、遺言者の口述を筆記し、遺言者と証人に読み聞かせ、作成します。
なお、普通方式の他には特別方式の遺言があり、遭難や死に瀕しているときなど、普通方式での遺言が難しい場合に認められ、口頭でも認められる場合があります。
U 「非上場株式等についての贈与税の納税猶予制度」は、後継者が先代経営者からその会社の非上場株式を贈与された場合、贈与税額の全額が、贈与者の死亡時まで納税が猶予される制度ですが、対象となる非上場株式等は、後継者が贈与前から保有していたものを含めて発行済議決権株式の3分の2までです。
従って、本問の場合は発行済株式総数150,000株で、既に長男Cさんは20,000株を保有していますから、3分の2の100,000株から保有済みの20,000株を差し引いた、80,000株までが特例の適用対象となります。
また、贈与税の納税猶予の特例を受ける際、後継者の要件は、事業を承継する会社の代表者であること、20歳以上、役員就任期間が3年以上等です。
また、総議決権数の50%超の議決権を持ち、親族間で最も多くの議決権を持っていることが必要です。
つまり、お飾りの後継者ではなく、きちんと議決権を集中させた事業承継が行われていることが必要なわけです。
V「遺留分に関する民法の特例」を受けるには、除外合意か固定合意のいずれかの合意をする必要があります。
除外合意とは、後継者に生前贈与された自社株式を、遺留分算定基礎財産価額に算入しないとする合意で、これにより後継者に自社株を集中し、円滑な事業承継・運営を可能にします。
また固定合意とは、後継者に生前贈与された自社株式について、遺留分算定基礎財産価額に算入する価格を固定する合意で、後継者の努力によって相続開始までに自社株式の評価額が上がっても、遺留分算定時には、固定合意時の評価額とすることで、円滑な遺産分割を可能にします。
なお、「遺留分に関する民法の特例」の適用を受けるには、推定相続人全員の合意を得た上で、書面により一定の内容を定め、後継者が経済産業大臣の確認と家庭裁判所の許可を受ける必要があります。
以上により正解は、(1)2(人) (2)80,000(株) (3)3(年)
(4)50(%) (5)合意 (6)家庭裁判所
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