問15 2015年10月基礎
問15 問題文
X株式会社(以下、「X社」という)が所有する建物等の火災保険から受け取る保険金と圧縮記帳に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、契約している火災保険は、契約者(=保険料負担者)および保険金受取人がX社である。
1) 工場建物および建物内に収容されている機械が全焼し、同一事業年度中に受け取った火災保険金で焼失前と同様の工場建物および同一の機械を新たに取得した場合、建物については圧縮記帳の対象となるが、機械については圧縮記帳の対象とならない。
2) 支払われる保険金等の額が確定する前に、滅失等をした所有固定資産に係る代替資産の取得等をした場合は、圧縮記帳の対象とならない。
3) 保険金等で取得した代替資産等の圧縮限度額を算出する際、「所有固定資産の滅失または損壊により支出する経費」には、滅失等をした所有固定資産の取壊費用、焼跡の整理費用や類焼者に対する賠償金などの費用が含まれる。
4) 保険金額が5,000万円、焼失前建物の帳簿価額が1,500万円の工場建物が全焼し、その焼跡の取り片づけに500万円の費用がかかった。その後、同一事業年度中に保険金額全額を保険金として受け取り、代替建物を3,600万円で取得した。この場合の圧縮限度額は2,400万円となる。
問15 解答・解説
法人の損害保険金と圧縮記帳に関する問題です。
1) は、不適切。圧縮記帳の対象は、法人所有の固定資産等ですので、建物や機械装置に適用されます(商品には圧縮記帳は適用されません)。
2) は、不適切。法人所有の固定資産が滅失し、保険金額が確定する前に代替資産を取得した(先行取得した)場合でも、圧縮記帳の適用対象です。
ただし、圧縮限度額の計算式は以下の通りとなります。
※先行取得資産の圧縮限度額=通常の圧縮限度額×帳簿価額/取得価額
よって、帳簿価額が減価償却等で取得価額より下がっている場合、通常よりも圧縮限度額が少なくなります。
3) は、不適切。代替資産の圧縮限度額を算出する際に、「滅失または損壊により支出する経費の額」を受け取った保険金額から差し引きます。この経費は取り壊し費用や消火費用、焼け跡の整理費用といった滅失等に直接関連する経費ですので、類焼者への賠償金・見舞金・弔慰金等の直接関連しない費用は含みません。
4) は、適切。保険金を受け取って代替資産を取得した場合の圧縮限度額の計算式は以下の通りです。
圧縮限度額=保険差益×代替資産の取得額または差引保険金/差引保険金
注1)「差引保険金」は、差引保険金=保険金−滅失・損壊による経費 で計算します。
注2)「保険差益」は、保険差益=差引保険金−滅失・損壊直前の帳簿価額 で計算します。
注3)「代替資産の取得額または差引保険金」は、いずれか少ない方を計算式で使用します。
まず、差引保険金=保険金5,000万円−片付け費用500万円=4,500万円
次に保険差益=差引保険金4,500万円−帳簿価額1,500万円=3,000万円
さらに、代替資産の取得額3,600万円<差引保険金4,500万円ですので、3,600万円で計算します。
以上により、圧縮限度額=3,000万円×3,600万円/4,500万円=2,400万円 となります。
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