問57 2015年10月応用
問57 問題文
X社の当期の〈資料〉と下記の〈条件〉に基づき、同社に係る〈略式別表四(所得の金額の計算に関する明細書)〉の空欄(1)〜(6)に入る最も適切な数値を、解答用紙に記入しなさい。なお、別表中の「***」は、問題の性質上、伏せてある。
〈条件〉
・設例に示されている数値等以外の事項は、いっさい考慮しないこととする。
・所得金額の計算上、選択すべき複数の方法がある場合は、X社にとって有利になるような方法を選択すること。
〈略式別表四(所得の金額の計算に関する明細書)〉 (単位:円)
問57 解答・解説
法人税の計算に関する問題です。
まず、(1)の「損金経理をした道府県民税利子割額」ですが、]社の資料に記載の通り、預金の利子について源泉徴収された道府県民税の利子割額10千円です。
よって、(1)の正解は、10千円
次に(2)の「損金経理をした納税充当金」ですが、納税充当金は、当期に確定した法人税等を翌期の支払いに充てるために計上するもので、本問では平成28年3月期確定申告の見積納税額2,600千円(未払法人税等の期末残高2,600千円)が該当します。
法人税等は企業会計上では損金としますが、税務上では損金不算入のため、当期利益に加算されるわけです。
よって、(2)の正解は、2,600千円
次に(3)の「交際費等の損金不算入額」ですが、資本金1億円超の法人は、交際費のうち、飲食用の支出の50%まで損金算入可能で、資本金1億円以下の法人は、交際費のうち800万円まで、または飲食用の支出の50%までは損金算入することができます(有利な方を選択可能)。
本問の場合、資本金5,000万円ですので、いずれか有利な方を選択可能です。
交際費は1,500万円ですから、800万円までを損金とすると、不算入額は700万円。
これに対し、接待飲食費の50%までを損金とすると、まず接待飲食費における不算入額は1,000万円÷2=500万円。
さらに、接待飲食費以外の交際費は全額損金不算入となるため、1,500万円−1,000万円=500万円も不算入となります。
よって、接待飲食費の50%損金算入を選択した際の不算入額の合計は、500万円+500万円=1,000万円。
損金不算入額が少ない(=損金算入額が多い)ほうが企業には有利ですから、交際費のうち800万円まで損金算入を選択することになります。
よって、(3)の正解は、7,000千円
次に(4)の「役員給与の損金不算入額」ですが、<資料>の2.で、当期の役員給与は55,500千円ですが、毎月の定額支給分以外に、12月に支給した1,500千円が含まれています。
役員給与は、定期同額給与・事前確定届出給与・利益連動給与のいずれかの場合損金算入されますが、毎月の定額支給分以外で、税務署に「事前確定届出給与に関する届出書」を提出していない給与については、損金不算入となります(使用人兼務役員に支給する場合は損金算入可)。
また、時価10,000千円の土地を8,000千円で役員Aさんに売却しており、Aさんは2,000千円トクしています。このような場合、法人側では時価で譲渡したものとされ、時価と売買価額の差額が役員給与として損金不算入となります。
従って(4)の正解は、届出書を提出していない分1,500千円と、土地の取引分2,000千円の合計で、3,500千円 です。
次に(5)の「法人税額から控除される所得税額および復興特別法人税額から控除される復興特別所得税額」ですが、問題文にある「預金の利子について源泉徴収(特別徴収)されたた所得税額30千円・復興特別所得税額630円」が該当します。
既に源泉徴収されている所得税・復興特別所得税については、法人税を計算するときに控除されるわけですね。
従って、(5)の正解は、30,000円+630円=30,630円 です。
次に(6)の「欠損金または災害損失金等の当期控除額」ですが、これは「前々期からの繰越欠損金2,500千円」が該当します。青色申告法人は、過去の事業年度で赤字(欠損金)があれば、今期の黒字(所得)と相殺することが出来ます(災害損失金については青色申告法人でなくても繰越可能)。これが欠損金の繰越控除といわれるもので、欠損金の繰越控除の期間は、平成28年度までは9年間、平成29年度以降は10年間で、各事業年度の所得金額を限度として、損金算入できます。
以上により正解は、(1)10,000 (2)2,600,000 (3)7,000,000
(4)3,500,000 (5)30,630 (6)2,500,000
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