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2016年2月13日実技part2

2016年2月13日実技part2

part2 問題文

●設 例●
Aさん(70歳)は、大都市圏近郊の都市に所在する甲土地(750u:月極駐車場)と乙土地(250u:借地人Bさん)を2年前に母親から相続した。
現在、妻(67歳)と所有マンションに2人暮らしで、駐車場収入、地代収入および年金収入で生活している。相続税の支払を行ったこともあり、預貯金は1,500万円とやや心もとない。なお、息子2人は独立して、離れた場所で安定した生活を送っている。
Aさんは、数年前に足をけがし、膝が思わしくなく出歩くことが億劫になってきている。また、最近は体調も思わしくないので、所有するすべての不動産を処分し、長男家族が住む都心部にあるマンションで暮らしたいと考えている。
Aさんは、X社から下記の提案をもらっており、その提案内容と乙土地の底地処分のことなどを含め、今後のことをFPに相談したいと思っている。

【X社からの提案】
甲土地を宅地開発等の用地として、ぜひ譲ってほしい。
広い道路に面する乙土地も併せて買わせてもらえれば、規模的に分譲マンション適地となり、より高い価格を提示できる。また、等価交換(立体買換えの特例)が希望であればそれも可能である。借地人Bさんを説得し、なんとか乙土地も買えるようにしてほしい。ただし、Bさんとの交渉はAさんが直接行ったほうがスムーズと思われるのでお願いしたい。

【借地人Bさんの近況】
Bさん(60歳)は、7年前に相続した築35年の木造2階建て住宅に妻と2人暮らしである。子どもはすでに独立している。Aさんとは、年に1〜2回ぐらい話をする間柄であり、関係は良好である。駐車場の管理を委託している不動産会社によると、Bさんは借地契約の更新時期も近づいているので、今後のことについて、いろいろと考えているようであるとのことである。

(FPへの質問事項)
1.Aさんに対して、最適なアドバイスをするためには、示された情報のほかに、どのような情報が必要ですか。以下の(1)および(2)に整理して説明してください。
 (1)Aさんから直接聞いて確認する情報
 (2)FPであるあなた自身が調べて確認する情報
2.不動産に詳しくないAさんに対し、乙土地を取り込むメリットをどう説明しますか。
3.乙土地を取り込むために、借地人であるBさんに対し、どのような提案が考えられますか。
4.単純売却し、現金化した場合と等価交換した場合のメリット・デメリットを整理して教えてください。
5.本事案に関与する専門職業家にはどのような方々がいますか。

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part2 ポイント解説

1. アドバイスに当たって必要な情報

(1) Aさんから直接聞いて確認する情報
Aさんは、足の怪我や体調不良により不動産処分を決意しているようでもあるため、将来の相続時に円滑な遺産分割が進むよう、不動産を金融資産に換えようとしていると思われる。このため、等価交換した場合、Aさんはその区分所有マンションで賃貸経営を行うのか、もしくは売却の可能性もあるかの確認が必要。また、同居や将来の介護についても、長男家族とどの程度同意が取れているか確認が必要。

(2) FP自身が調べて確認する情報
顧客が関知していない状況や、忘れている事項がある可能性もあるため、甲土地・乙土地の登記簿と、現地の確認を行うことで、所有権・抵当権等の権利状況や土地・建物の物理的状況を、実際に確認することが必要。
また、乙土地の賃貸借契約書を確認し、当初の契約条件とこれまでの更新状況を確認することが必要。

2. 不動産に詳しくないAさんに対する、乙土地を取り込むメリットの説明

(1)一体活用で有効性が高まる理由
甲・乙土地を一体活用することで、建ぺい率・容積率・路線価いずれについてもより有利な乙土地の方の規制を適用できるため、建築物の自由度・評価額が高くなるため。
● 建ぺい率・容積率…前面道路が幅員8mとなり、角地となるため緩和される。
● 路線価…甲単独だと250,000円/u(250D)だが、一体活用で350,000円/u(350D)となる。

(2)より分かりやすい説明
甲・乙土地を一体活用することで、角地で広い道路に面したマンション用地となる。入居者にとっては、自動車利用や日当たり等の利便性や快適性がより高まると思われ、X社としてもAさんにより高い価格で売却・交換したとしても、マンション売却時に採算が取れると考えていると思われる。

3. 乙土地を取り込むための借地人Bさんへの提案

(1) マンション建設に伴う等価交換
デベロッパーとの等価交換事業により、マンションを建設し、底地・借地権に応じたマンションの一部を取得する。
○メリット :資金負担無しで建物を取得可能。
建物の専有部分を複数取得することで、分割しやすい資産へ整理可能。
立体買換え特例により、譲渡所得の繰り延べ可能。
○デメリット:土地は実質共有

(2) 底地と借地権の共同売却
乙土地の底地と借地権を、共同で他者に売却し、土地から金融資産とする方法。
○メリット :分割しやすい金融資産へ整理可能。
○デメリット:賃貸収入の消滅譲渡所得税負担の発生。

上記のほか、地主による借地権の買い取りや、地主と借地人との間での底地と借地権の交換という方法もあるが、前者はAさんが自身の金融資産に不安を感じていること、後者は乙土地の一部の所有権がBさんに移るため、Bさんの意向によってはX社の想定するマンション計画とならず、Aさんへの提示額も低くなる可能性がある。

4. 単純売却による現金化と等価交換との比較

(1) 単純売却による現金化
○メリット :分割しやすい金融資産へ整理可能。
○デメリット:賃貸収入の消滅譲渡所得税負担の発生。

(2) X社との等価交換
○メリット :資金負担無しで建物を取得可能。
建物の専有部分を複数取得することで、分割しやすい資産へ整理可能。
立体買換え特例により、譲渡所得の繰り延べ可能。
○デメリット:土地は実質共有

5. 関与すべき専門職業家

貸宅地の整理に関して、土地価格の算定は不動産鑑定士、媒介や契約代理等の宅地建物取引業法に規定する業務に該当するものについては、不動産業者が適当(本問ではX社)。
また、単純売却時の譲渡所得税や立体買換え特例による譲渡所得繰延べに関する具体的な税務相談については税理士、甲土地・乙土地の所有権の移転登記について司法書士が適当。

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