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2016年6月5日実技part2

2016年6月5日実技part2

part2 問題文

●設 例●
Aさん(50歳)は、首都圏近郊のX市の出身であるが、地方都市に所在するM大学に進学した。M大学卒業後は、同県に本社がある有名メーカーに就職し、現在は製造部門の部長職にある。Aさんの家族は、妻(48歳・パート従業員)、長男(20歳・大学生)および長女(17歳・高校生)の3人であり、M市内に購入した自宅で同居している。
Aさんの父親は5年前に他界し、現在は、母親Bさん(76歳)がX市内(人口15万人)の実家において1人で生活している。最近、Bさんから、「体力が衰えて足腰が弱り、1人で大きな家で生活するのは大変になってきた」との相談を受けるようになった。Aさんは、Bさんに、訪問介護サービスを利用するか、今のうちに自宅を売却し、X市内にある有料老人ホームに入居する案を勧めた。
Aさんの案に対して、Bさんとしては、訪問介護サービスを受ける場合、当初の負担は小さくとも、いずれ相当の利用料負担が必要となる可能性があり、現在の年金収入で生活費まで十分に賄えるか心配している。また、有料老人ホームに入居するとしても、利用料の負担ができるかわからないという不安と、愛着のある自宅は当面売却したくない、との気持ちを持っている。
なお、Bさんの年金収入は月額13万円で、預貯金は4,000万円程度である。
そのような折、Aさんは新聞でリバースモーゲージという制度があることを知り、Bさんに利用できないか検討を始めた。また、リバースモーゲージという方法以外に、自宅を賃貸し、その賃料収入で有料老人ホームの月額利用料に充当できないかとも考えている。高校時代の友人から「X市では市役所職員向けに借上げを行っているようだ。また、最近の市場では地元企業が定期借家契約で社宅として借り上げてくれる場合もあるため、これらを利用するのがよいのではないか。定期借家契約であれば、当面賃貸しても、将来、売却資金が必要になった際に売却が容易ではないか」とのアドバイスを受けた。
Aさんは、これらの情報について確認し、検討するために、FPに相談することにした。

【Bさんが居住するX市内の住宅の概要】
・土地140u、建物(木造2階建て)120u、築35年(10年前に大規模リフォームを実施)
・最寄駅から徒歩5分の好立地にある。
・土地の評価額は、相続税路線価から計算すると、約3,700万円である。

(FPへの質問事項)
1.Aさんに対して、最適なアドバイスをするためには、示された情報のほかに、どのような情報が必要ですか。以下の(1)および(2)に整理して説明してください。
(1)Aさんから直接聞いて確認する情報
(2)FPであるあなた自身が調べて確認する情報
2.リバースモーゲージとは、どのような仕組みですか。メリット・デメリットを挙げて、説明してください。
3.定期借家契約とは、どのような仕組みですか。また、契約を成立させるための要件について説明してください。
4.本事案に関与する専門職業家にはどのような方々がいますか。

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part2 ポイント解説

1. アドバイスに当たって必要な情報

(1) Aさんから直接聞いて確認する情報
Aさんは、Bさんに訪問介護サービスや有料老人ホームへの入居を勧めているが、Bさん自身の意向(Aさんとの同居希望の有無)も確認したい。
家族の問題でもあるため、まずはAさんからBさんに確認を促す。

(2) FP自身が調べて確認する情報
顧客が関知していない状況や、忘れている事項がある可能性もあるため、物件の登記簿と、現地の確認を行うことで、所有権・抵当権等の権利状況や土地・建物の物理的状況を、実際に確認することが必要。
また、市役所の職員向け借上げや地元企業の社宅需要についても、直接X市や不動産業者に確認が必要。

2. リバースモーゲージの仕組みとメリット・デメリット

リバースモーゲージは、すでに保有している住宅を担保に、一定額の融資を受けるローンであり、返済はせずに借入者の死亡時に住宅を処分して返済資金に充当する(配偶者が遺された場合はそのまま居住可能で、配偶者死亡時に返済)。
リバースモーゲージを利用すると、自宅はあっても金融資産が少ない高齢者が、自宅に住み続けながら自由な資金を借り入れられるため、遺産を残す必要が無い場合に有効。
ただし、リバースモーゲージは年齢制限(申し込み時に60歳〜80歳までが平均的)があり、さらに、想定よりも長生きすることで融資額では不足するリスクがある。

3. 定期借家契約の仕組みと契約成立の要件

定期借家契約は、原則として更新がないため、契約期間満了後は、借主は退去することが必要。ただし、貸主と借主双方が合意すれば、再契約は可能
また、定期借家契約には存続期間の制限がないため、1年未満の短期の契約期間も認められ、20年超の長期の契約期間も認められる。
なお、定期借家契約は公正証書等の書面によって行うことが必要で、賃貸人は賃借人に対し、あらかじめ、契約の更新がなく期間満了により賃貸借が終了することを、書面を交付して説明することが必要。

4. 関与すべき専門職業家

リバースモーゲージの利用における、測量結果に基づく適正な不動産価格の算定は、不動産鑑定士融資金の担保設定の登記手続きは司法書士が適当。
また、定期借家契約の活用に向けた、不動産の賃貸借や土地売却に関する、媒介や契約代理等の宅地建物取引業法に規定する業務に該当するものについては、不動産業者が適当。

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