問19 2016年9月実技(資産設計)
問19 問題文
義文さんと広美さんは、どちらかが死亡した場合の厚生年金の遺族給付について、FPの岡さんに相談をした。下記<資料>に基づく65歳以後の遺族厚生年金の額、および遺族厚生年金と老齢厚生年金の併給調整に関する岡さんの説明の空欄(ア)〜(エ)に入る適切な語句を語群の中から選び、その番号のみを解答欄に記入しなさい。なお、義文さんと広美さんは、ともに25年以上、厚生年金保険に加入している。また、同じ語句を何度選んでもよいこととする。
<資料>
[配偶者の死亡に基づく65歳以後の遺族厚生年金の額]
次の<A>または<B>のいずれか高い方の額とされる。
[65歳以後の遺族厚生年金と老齢厚生年金・老齢基礎年金の併給調整]
老齢厚生年金と老齢基礎年金が優先して支給される。遺族厚生年金は受給する配偶者の老齢厚生年金相当額が支給停止され、老齢厚生年金を上回る額があるときは、その差額が支給される。
[義文さんと広美さんの老齢厚生年金の額]
義文さん:120万円
広美さん:160万円
・「義文さんが死亡した場合、広美さんに65歳以後支給される遺族厚生年金の額は( ア )ですが老齢厚生年金相当額が支給停止されるので、広美さんに( イ )。」
・「広美さんが死亡した場合、義文さんに65歳以後支給される遺族厚生年金の額は( ウ )ですが老齢厚生年金相当額が支給停止されるので、義文さんに( エ )。」
<語群>
1. 90万円 2. 120万円 3. 140万円
4. 240万円 5. 250万円
6.遺族厚生年金が満額支給されます
7.遺族厚生年金と老齢厚生年金相当額との差額が支給されます
8.支給される額はありません
問19 解答・解説
遺族厚生年金と併給調整に関する問題です。
遺族厚生年金は、厚生年金保険の被保険者が死亡した場合、その被保険者によって生計を維持されていた配偶者および子、父母、孫、祖父母(←支給順位順)に、支給されます(最高順位の者以外には受給権無し)。
支給額は死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3で、被保険者期間が300月未満の場合は300月とみなして計算する最低保障がつきますが、長期要件に該当する場合には、最低保障がなく、実際の被保険者期間で計算します。
本問では、義文さんも広美さんも、ともに25年以上厚生年金保険に加入しているため、老齢厚生年金の受給資格期間(老齢基礎年金の受給資格期間300月&厚生年金保険の被保険者期間が1ヵ月以上)を満たしており、長期要件に該当します。
ただし、配偶者の死亡により65歳以降に受け取る遺族厚生年金は、「遺族厚生年金の3分の2と自身の老齢厚生年金の2分の1の合計」と比較して、高い方が支給されます(配偶者以外の死亡による遺族厚生年金は比較調整なし)。
義文さんが死亡した場合の遺族厚生年金額は、
120万円×3/4=90万円
90万円×2/3+160万円×1/2=140万円>90万円ですので、遺族厚生年金額(基本年金額)は140万円 です。
また広美さんが死亡した場合の遺族厚生年金額は、
160万円×3/4=120万円
120万円×2/3+120万円×1/2=140万円>120万円ですので、遺族厚生年金額(基本年金額)は140万円 です。
ただし、遺族厚生年金の受給権者が65歳になって老齢厚生年金の受給資格も得た場合は、遺族厚生年金と老齢厚生年金の差額を遺族厚生年金として受給(それまで受給していた遺族厚生年金のうち、老齢厚生年金相当額が支給停止となる)します。
義文さんが死亡した場合、広美さんの老齢厚生年金は160万円で、支給される遺族厚生年金140万円を上回るため、年金は全て老齢厚生年金として支給され、遺族厚生年金としては支給されません。
広美さんが死亡した場合、義文さんの老齢厚生年金は120万円で、支給される遺族厚生年金140万円を下回るため、年金のうち老齢厚生年金としては120万円、遺族厚生年金としては差額の20万円が支給されます。
従って正解は、(ア)3.140万円 (イ)8.支給される額はありません (ウ)3.140万円 (エ)7.遺族厚生年金と老齢厚生年金相当額との差額が支給されます
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