問10 2016年9月基礎
問10 問題文
生命保険会社の健全性・収益性に関する指標等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1) 責任準備金は、保険会社が将来の保険金等の支払に備えるために保険料や運用収益などを財源として積み立てる準備金であり、責任準備金が特別勘定に属する財産の価額により変動する保険契約等を除き、保険業法によりチルメル式により積み立てることが義務づけられている。
2) ソルベンシー・マージン比率は、保険会社が、通常の予測を超えて発生するリスクに対し、どの程度の保険金等の支払余力を有しているかを示す指標であり、内部留保と有価証券含み損益などの合計である「ソルベンシー・マージン総額」を保険リスクや予定利率リスクなどを数値化した「リスクの合計額」の2倍相当額で除して算出される。
3) 実質純資産額は、有価証券や有形固定資産の含み損益などを反映した時価ベースの資産の合計から、価格変動準備金や危険準備金などの資本性の高い負債を除いた負債の合計を差し引いて算出され、この値がマイナスとなった場合には、金融庁による業務停止命令の対象となることがある。
4) EV(エンベディッド・バリュー)は、保険会社の企業価値・業績を評価する指標であり、保険会社の本業の利益を表す「基礎利益」と保有契約に基づき計算される「保有契約価値」を合計して算出される。
問10 解答・解説
生命保険会社の健全性・収益性に関する指標に関する問題です。
1) は、不適切。責任準備金とは、保険会社が将来の保険金や給付金を支払うため、保険料や運用収益を積み立てている準備金ですが、保険業法により平準純保険料式で積み立てることが義務付けられています(平準純保険料式は一定額を積み立てるため、チルメル式よりも責任準備金の安全性は高い)。
平準純保険料式:毎年一定の付加保険料で保険事業を運営可能と想定し、残りの保険料を積み立てる方式
チルメル式:初年度は付加保険料は多めにして責任準備金は少なくし、2年目以降から責任準備金の割合を増やす方式
2) は、不適切。ソルベンシー・マージン比率とは、大規模災害等の通常の予測を超えて発生する損失に対し、保険会社が有する支払余力を示す指標で、ソルベンシー・マージン総額(内部留保と有価証券含み損益などの合計=支払余力)を、リスクの合計額(保険リスクや予定利率リスク等を数値化した通常の予測を超える危険値)の2分の1で除して算出されます。
ソルベンシー・マージン比率(%)=ソルベンシー・マージン総額/(リスクの合計×1/2)×100
3) は、適切。実質純資産額は、有価証券や有形固定資産の含み損益などを反映した時価ベースの資産の合計から、価格変動準備金や危険準備金等の資本性の高い負債を除いた負債の合計を差し引いて算出され、実質純資産額がマイナスになると、実質的な債務超過と判断され、金融庁による業務停止命令の対象となることがあります。
4) は、不適切。エンベディッド・バリュー(EV)は、生命保険会社の株主に帰属する企業価値をあらわす指標で、貸借対照表等から計算される「修正純資産」と、保有契約に基づき計算される「保有契約価値」を合計して算出されます。
関連・類似の過去問
この問題と似ている問題を検索してみよう!「検索」ボタンをクリック!
FP対策講座
<FP対策通信講座>
●LECのFP講座(キーワード検索欄で「1級」と検索) ⇒ FP(ファイナンシャル・プランナー)サイトはこちら
●1級FP技能士(学科試験対策)のWEB講座 ⇒ 1級FP技能士資格対策講座(資格対策ドットコム)
●通勤中に音声学習するなら ⇒ FP 通勤講座
●社労士・宅建・中小企業診断士等も受けるなら ⇒ 月額定額サービス【ウケホーダイ】