問53 2016年9月応用

問53 問題文と解答・解説

問53 問題文

仮に、Aさんが現時点(平成28年9月11日)で死亡し、妻Bさんが65歳以降も遺族厚生年金を受給することができる場合、妻Bさんが65歳以降に受給することができる遺族厚生年金について、次の(1)および(2)に答えなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は円単位とすること。また、年金額の端数処理は、円未満を四捨五入すること。
なお、計算にあたっては、以下の〈条件〉と〈資料〉の計算式を利用し、年金額は、平成28年度価額(本来水準による価額)に基づいて計算するものとする。また、資料中の「○○○」「□□□」「a〜f」は、問題の性質上、伏せてある。

(1) 遺族厚生年金の基本年金額(支給停止分が控除される前の額)はいくらか。
(2) 遺族厚生年金として実際に支給される額(支給停止分が控除された後の額)はいくらか。

〈条件〉
(1) Aさんに関する条件
・総報酬制導入前の厚生年金保険の被保険者期間:204月
・総報酬制導入前の平均標準報酬月額     :280,000円
・総報酬制導入後の厚生年金保険の被保険者期間:6月
・総報酬制導入後の平均標準報酬額      :402,000円

(2) 妻Bさんに関する条件
(65歳到達時点、本来水準の額による平成28年度価額の年金見込額)
・老齢厚生年金
基本年金額(報酬比例部分の額+経過的加算額):246,364円
・老齢基礎年金の額(付加年金を含む)    :830,500円

〈資料〉
遺族厚生年金の計算式 (平成28年度価額、本来水準による価額)
下記(@)の額または(A)の額のうちいずれか○○○額
(@)の額=( (1)+(2) ) ×a/b
(1)平成15年3月以前の期間分
平均標準報酬月額×乗率×平成15年3月以前の被保険者期間の月数
(2)平成15年4月以後の期間分
平均標準報酬額×乗率×平成15年4月以後の被保険者期間の月数

報酬比例部分の給付乗率(1,000分の)
総報酬制導入前・・・新乗率:7.125 旧乗率:7.5
総報酬制導入後・・・新乗率:5.481 旧乗率:5.769

(A)の額=上記(@)の額×c/d+□□□円×e/f

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問53 解答・解説

遺族厚生年金の支給額に関する問題です。

遺族厚生年金は、厚生年金保険の被保険者が死亡した場合(短期要件)以外にも、老齢厚生年金の受給権者や受給資格期間を満たした人が死亡した場合にも、遺族に支給(長期要件)されます。
支給対象は、死亡した者によって生計を維持されていた配偶者および子、父母、孫、祖父母(←支給順位順)です(最高順位の者以外には受給権無し)。
支給額は死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3で、被保険者期間が300月未満の場合は300月とみなして計算する最低保障がつきますが、長期要件に該当する場合には、最低保障がなく、実際の被保険者期間で計算します。
本問では、Aさんは現在は厚生年金の被保険者ではないものの、厚生年金210月と国民年金156月で合計366月であるため、老齢厚生年金の受給資格期間(老齢基礎年金の受給資格期間300月&厚生年金保険の被保険者期間が1ヵ月以上)を満たしており、長期要件に該当します。

また、問題文では「平成28年度の本来水準」に基づき計算するように指示されていますので、「新乗率」を使って計算します。
※実際の年金計算では、新乗率(本来水準額)と旧乗率(従前額保障)それぞれで計算し、高い方が支給額となります。

遺族厚生年金額=(T+U)×3/4
       =315,150.1…(円未満四捨五入)
       ≒315,150 円
※T:280,000円×7.125/1,000×204月=406,980円
※U:402,000円×5.481/1,000×6月=13,220.172円

ただし、配偶者の死亡により65歳以降に受け取る遺族厚生年金は、「遺族厚生年金の3分の2と自身の老齢厚生年金の2分の1の合計」と比較して、高い方が支給されます(配偶者以外の死亡による遺族厚生年金は比較調整なし)。
遺族厚生年金の3分の2=315,150円×2/3=210,100円
Bさん自身の老齢厚生年金の2分の1=246,364円×1/2=123,182円
合計=210,100円+123,182円=333,282円
よって、315,150 円<333,282 円 となりますので、遺族厚生年金額(基本年金額)は333,282円 です。

また、遺族厚生年金の受給権者が65歳になって老齢厚生年金の受給資格も得た場合は、遺族厚生年金と老齢厚生年金の差額を遺族厚生年金として受給(それまで受給していた遺族厚生年金のうち、老齢厚生年金相当額が支給停止となる)します。
妻Bさんは、厚生年金141月と国民年金261月(105月+156月)で合計402月であるため、老齢厚生年金の受給資格期間(老齢基礎年金の受給資格期間300月&厚生年金保険の被保険者期間が1ヵ月以上)を満たしており、支給停止条件に該当します。

よって、遺族厚生年金額(基本年金額)333,282 円のうち、Bさんの老齢厚生年金246,364円分が支給停止となるため、
遺族厚生年金として実際に支給される額=333,282 円−246,364 円=86,918 円

以上により正解は、(1)333,282(円) (2)86,918(円)

問52          第2問

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