問56 2016年9月応用
問56 問題文
Mさんは、Aさんに対して、上場株式の配当や譲渡に係る税金について説明した。Mさんが、Aさんに対して説明した以下の文章TおよびUの下線部(1)〜(3)のうち、最も不適切なものをそれぞれ1つ選び、その適切な内容について簡潔に説明しなさい。なお、本問において、上場株式は、一般口座(特定口座やNISA口座以外の口座)において管理しているものとする。
T 「上場株式から受け取る配当については、大口株主等に該当する場合を除き、(1)その支払の際に20.315%の税率により所得税および復興特別所得税、住民税が源泉徴収(特別徴収)されます。
配当所得は、原則として確定申告の対象となります。ただし、上場株式から受け取る配当に係る配当所得については、大口株主等に該当する場合を除き、(2)支払を受けるべき配当の金額にかかわらず、確定申告不要制度を選択することができます。 また、確定申告する場合は、総合課税と申告分離課税のいずれかを選択することができます。この場合、(3)1回に支払を受けるべき配当の金額ごとに総合課税または申告分離課税を選択することができます。総合課税の対象とした配当所得については、一定のものを除き、配当控除の適用を受けることができます」
U 「上場株式を売却した場合、その譲渡価額から取得費および委託手数料等を控除して計算した譲渡所得の金額が申告分離課税の対象となります。取得費は、その購入価額となりますが、(1)同一銘柄の上場株式を2回以上にわたって購入している場合には、総平均法に準ずる方法によって算出した1株当たりの金額に譲渡株数を乗じて得た金額が、その取得費となります。
上場株式を金融商品取引業者等を通じて譲渡したことにより生じた譲渡損失の金額については、確定申告により、(2)その年分の他の上場株式や非上場株式に係る譲渡所得のほか、申告分離課税を選択した上場株式の配当所得や特定公社債、公募公社債投資信託に係る利子所得、配当所得および譲渡所得と損益通算することができます。
また、損益通算してもなお控除しきれない譲渡損失の金額については、確定申告により、(3)翌年以後3年間にわたり、上場株式に係る譲渡所得等の金額から繰越控除することができます」
問56 解答・解説
上場株式の税務に関する問題です。
T
(1)は、適切。上場株式の配当金は、所得税・復興特別所得税と住民税を合わせて20.315%が源泉徴収(特別徴収)されます。
(2)は、適切。上場株式の配当金は、原則として総合課税の対象ですが、申告分離課税や確定申告不要制度も選択できます(大口株主(発行済株式の総数等の3%以上保有)を除く)。上場株式の場合、配当金額に関わらず確定申告不要制度を選択可能ですが、非上場株式の場合、1銘柄につき1回の配当金が10万円以下(少額配当)なら確定申告不要です。
(3)は、不適切。複数の銘柄や、複数回の上場株式の配当を受け取った場合、確定申告時には全ての銘柄について総合課税・申告分離課税のいずれかに統一して選択することが必要です。
U
(1)は、適切。同一銘柄の株式を2回以上購入し、その後一部を譲渡した場合の取得費は、「加重平均した1株当たりの価額×売却株式数」で計算します(総平均法に準ずる方法=加重平均)。
(2)は、不適切。平成28年1月1日以後、特定公社債等は上場株式等と同様の課税体系となり、上場株式等との損益通算も可能となっていますが、これまで認められていた、上場株式の譲渡損益と非上場株式の譲渡損益の通算は不可となりました。
(3)は、適切。上場株式の譲渡損失は、同一年の上場株式の譲渡所得や申告分離課税を選択した配当所得と損益通算できますが、それでも損失が上回る場合は、確定申告することで翌年以降3年間その損失額を繰り越せます。
関連・類似の過去問
この問題と似ている問題を検索してみよう!「検索」ボタンをクリック!
FP対策講座
<FP対策通信講座>
●LECのFP講座(キーワード検索欄で「1級」と検索) ⇒ FP(ファイナンシャル・プランナー)サイトはこちら
●1級FP技能士(学科試験対策)のWEB講座 ⇒ 1級FP技能士資格対策講座(資格対策ドットコム)
●通勤中に音声学習するなら ⇒ FP 通勤講座
●社労士・宅建・中小企業診断士等も受けるなら ⇒ 月額定額サービス【ウケホーダイ】