問59 2016年9月応用
問59 問題文
「雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除」(以下、「所得拡大促進税制」という)および「特定の地域において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除」(以下、「雇用促進税制」という)に関する以下の文章T〜Vの下線部(1)〜(3)のうち、最も不適切なものをそれぞれ1つ選び、その適切な内容について簡潔に説明しなさい。なお、平成28年4月1日以後に開始する事業年度とし、雇用促進税制については、いわゆる地方拠点強化税制による拡充措置は考慮しないものとする。
〈所得拡大促進税制〉
T 「所得拡大促進税制の適用対象法人は、青色申告法人であり、(1)雇用者給与等支給額が基準雇用者給与等支給額と比較して5%以上(中小企業者等については3%以上)増加していること、雇用者給与等支給額が前事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額以上であること、(2)平均給与等支給額(継続雇用者1人当たりの月平均給与額)が前事業年度の平均給与等支給額を超えていることなどの要件を満たした法人である。
なお、平均給与等支給額の算定における(3)継続雇用者に対する給与等とは、国内雇用者に対する給与等のうち、雇用保険法に規定する一般被保険者に対して支給したものに限られる」
〈雇用促進税制〉
U 「雇用促進税制の適用対象法人は、青色申告法人であり、(1)適用年度終了の日における雇用者の数から適用年度開始の日の前日における雇用者の数を減算した数(基準雇用者数)が5人以上(中小企業者等については2人以上)であること、(2)基準雇用者数を適用年度開始の日の前日における雇用者の数で除した数(基準雇用者割合)が5%以上であること、適用年度における給与等支給額が比較給与等支給額以上であること、適用年度およびその前事業年度に事業主都合による離職者がいないことなどの要件を満たした法人である。
なお、雇用促進税制の適用を受けるためには、原則として、(3)適用年度開始後2カ月以内に納税地を管轄する公共職業安定所に雇用促進計画を提出する必要がある」
V 「雇用促進税制による税額控除限度額は、地域雇用開発促進法に規定する同意雇用開発促進地域内に所在する事業所において、(1)新たに雇い入れた正規労働者および短時間労働者(雇用保険の一般被保険者に限る)の増加数に40万円を乗じた金額となる。ただし、(2)適用年度の法人税額の10%相当額(中小企業者等については20%相当額)が限度となる。
なお、雇用促進税制と所得拡大促進税制は、(3)所定の要件を満たせば、同一事業年度において重複して適用を受けることができる」
問59 解答・解説
所得拡大促進税制・雇用促進税制に関する問題です。
T
(1)は、不適切。所得拡大促進税制は、開始事業年度の経過に応じて、少しずつ給与の増加率を上げる必要がありますが、増加率は平成27年度税制改正で緩和されており、平成28年年度は4%、平成29年度は5%以上の増加に緩和(中小企業はいずれも3%)されました。
(2)は、適切。所得拡大促進税制を受けるには、給与の平均給与額が前事業年度を超えていること(前事業年度の退職者の給与を除く)が必要です。
(3)は、適切。所得拡大促進税制の適用対象は、雇用保険の一般被保険者に対する給与です(週の所定労働時間20時間以上で、31日以上雇用見込みの者)。
U
(1)は、適切。雇用促進税制では、前期末と比べて雇用者数を5人以上(中小企業は2人以上)増加させていることが必要です。
(2)は、不適切。雇用促進税制では、前期末と比べて雇用者数を10%以上増加させていることが必要です。
(3)は、適切。雇用促進税制とは、前年より従業員を一定以上増やすと、法人税の税額控除が受けられる制度で、適用を受けるには、あらかじめ適用年度開始後2ヶ月以内に「雇用促進計画」を納税地のハローワークに提出しておくことが必要です。
V
(1)は、不適切。雇用促進税制による特別控除額の計算式は、特別税額控除額=40万円×増加した雇用者数ですが、対象者は無期雇用かつフルタイムの労働者であり、短時間労働者は含まれません。。
(2)は、適切。雇用促進税制による特別控除は、当期の法人税額の10%(中小企業は20%)が税額控除の上限です。
(3)は、適切。所得拡大促進税制と雇用促進税制は、同一事業年度内であっても重複適用可能です(以前はできませんでしたが、平成28年4月1日以降は可能となりました)。
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