問63 2016年9月応用
問63 問題文
父Aさんが現時点(平成28年9月11日)で死亡して、相続人が甲土地、乙土地、丙土地を相続により取得し、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」(以下、「本特例」という)の適用を受けた場合、本特例の適用を選択する宅地に応じた相続税の課税価格に算入すべき価額の計算にあたって減額される最大の金額に関する下記の表の空欄(1)〜(5)に入る最も適切な数値を求めなさい。
なお、甲土地は特定居住用宅地等、乙土地は特定事業用宅地等、丙土地は貸付事業用宅地等にそれぞれ該当するものとする。
問63 解答・解説
小規模宅地の特例に関する問題です。
小規模宅地の特例は、特定居住用は330uを上限に80%減額、特定事業用は400uを上限に80%減額、貸付事業用は200uを上限に50%減額となりますが、平成27年1月1日以降の相続・遺贈より、特定事業用400uと特定居住用330uを併用する際は、それぞれ適用可能となっため、最大730uまで適用可能となりました。
適用可能面積はそれぞれの上限までであり、一方の超過分をもう一方から差し引くことはできないため、本問の場合、特定居住用360uのうち特例適用できるのは330uまで、貸付事業用250uのうち特例適用できるのは単独適用であれば200uまでで、併用適用の場合は調整計算されます。
さらに、小規模宅地の特例は、貸付事業用は200uを上限に50%減額となりますが、賃貸アパートの敷地などの、自分が所有する土地に建築した家屋を他に貸し付けている場合の土地は、借地権や借家権分が減額評価された貸家建付地としての評価額に対して特例適用されます。
よって、甲・乙・丙土地それぞれに単独適用する場合、減額される金額は以下の通り。
特定居住用:甲土地5,400万円×330u/360u×80%=3,960万円
特定事業用:乙土地6,300万円×350u/350u×80%=5,040万円
貸付事業用:丙土地6,000万円×(1−60%×30%×100%)×200u/250u×50%=1,968万円
次に、特定事業用と特定居住用を併用する場合、減額される金額は以下の通り。
特定居住用:甲土地5,400万円×330u/360u×80%=3,960万円
特定事業用:乙土地6,300万円×350u/350u×80%=5,040万円
減額合計 :5,040円+3,960万円=9,000万円
また、貸付事業用との併用は、以前と同様に、特例を適用する敷地面積に応じて調整計算する必要があります。
本問の場合、特定事業用の乙土地は350uで上限の400uまで達していないため、上限に対して余った割合として、
1−(350u÷400u)×100=12.5%を丙土地に適用できます。
従って、特定事業用と貸付事業用を併用する場合、減額される金額は以下の通り。
特定事業用:乙土地6,300万円×350u/350u×80%=5,040万円
貸付事業用:丙土地6,000万円×(1−60%×30%×100%)×12.5%×200u/250u×50%=246万円
減額合計 :5,040万円+246万円=5,286万円
以上により正解は、(1)3,960(万円) (2) 5,040(万円) (3) 1,968(万円)
(4)9,000(万円) (5) 5,286(万円)
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