問15 2017年1月基礎
問15 問題文
法人が受け取る損害保険の保険金と圧縮記帳に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
1) 法人所有の工場建物が火災により滅失し、受け取った火災保険金でその事業年度中に倉庫建物を新たに取得した場合は、建物の用途が異なるため、圧縮記帳の適用対象とならない。
2) 法人所有の工場建物が火災により滅失し、受け取った火災保険金を当該建物が滅失した時点において既に建設中であった工場建物の建設費用に充当した場合は、圧縮記帳の適用対象とならない。
3) 法人所有の工場建物内の機械設備が火災により滅失し、火災保険金の額が確定する前に滅失した機械設備に係る代替資産を取得した場合は、圧縮記帳の適用対象とならない。
4) 法人所有の倉庫建物内の商品が火災により全焼し、受け取った火災保険金でその事業年度中に焼失前と同一の商品を購入した場合は、圧縮記帳の適用対象となる。
問15 解答・解説
法人の損害保険金と圧縮記帳に関する問題です。
1) は、不適切。圧縮記帳の対象は、建物や機械装置に適用され、滅失または損壊した所有固定資産と同一種類に区分される固定資産です。同一種類かどうかは、減価償却資産の耐用年数表の区分で判断され、工場と倉庫は同一種類に区分されているため、適用対象となります。
2) は、適切。圧縮記帳の対象は、固定資産の滅失・損壊に対して保険金を受け取り、代替資産を取得した場合ですので、滅失時点で既に建設中や製造中の資産は代替資産に該当せず、圧縮記帳の対象外です。
3) は、不適切。法人所有店舗が火災に遭い、保険金額が確定する前に代替資産を取得した(先行取得した)場合でも、圧縮記帳の適用対象です。
ただし、圧縮限度額の計算式は以下の通りとなります。
※先行取得資産の圧縮限度額=通常の圧縮限度額×帳簿価額/取得価額
よって、帳簿価額が減価償却等で取得価額より下がっている場合、通常よりも圧縮限度額が少なくなります。
4) は、不適切。圧縮記帳の対象は、法人所有の固定資産等ですので、建物や機械装置に適用されます(商品には圧縮記帳は適用されません)。
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