問33 2017年1月基礎
問33 問題文
いわゆるグループ法人税制(完全支配関係のある法人を対象とした税制)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、法人はいずれも内国法人(普通法人)であるものとする。
1) 同一の個人が発行済株式の全部を保有するA社とB社において、A社がB社に寄附金を支払った場合、A社では支払った寄附金の額の全額が損金不算入となり、B社では受け取った寄附金の額の全額が益金不算入となる。
2) 同一の個人が発行済株式の全部を保有するC社とD社において、C社が保有する土地(譲渡直前の帳簿価額2,000万円)を時価5,000万円でD社に譲渡した場合、その譲渡益は、D社がその土地を他の法人に譲渡するなどの一定の事由が生じるまでの期間、繰り延べられる。
3) E社とE社が発行済株式の全部を保有するF社において、E社がF社から当該株式に係る配当等を受け取った場合、負債利子控除はなく、受け取った配当等の額の全額が益金不算入となる。
4) 資本金の額が5億円であるG社が発行済株式の全部を保有するH社は、H社の資本金の額が1億円以下であっても、各事業年度の所得の金額のうち、年800万円以下の金額に対する法人税の軽減税率の適用はない。
問33 解答・解説
グループ法人税制に関する問題です。
1) は、不適切。法人による完全支配関係にあるグループ法人間では、寄付金を支出した側は損金不算入、受領した側も益金不算入とされますが、個人が100%支配しているグループ法人間では、寄付金を支出した側は損金不算入(損金算入限度額を除く)、受領した側では益金算入となります。
2) は、適切。グループ法人間での資産(帳簿価格1,000万円以上)譲渡の損益は、税務上繰延べられますが、譲渡された法人がその資産をグループ外に譲渡したり、グループから離脱した場合等の一定の事由が生じた時点で、譲渡した側の法人において損益を計上します。
3) は、適切。グループ法人間での配当受取りは、負債利子控除せずに全額益金不算入とすることができます。
以前は子会社が親会社に配当する際、親会社が子会社の株式取得に要した負債の利子がある場合には、その株式相当部分が益金不算入の対象外(負債利子控除)となり、課税されていました。
4) は、適切。資本金1億円以下の中小企業は、課税所得800万円以下は15%の軽減税率を適用することが出来ますが、資本金5億円以上の親会社の完全子会社の場合は、軽減税率は適用されません。
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