問59 2017年1月応用
問59 問題文
前問《問58》を踏まえ、Aさんの平成28年分の課税総所得金額に対する算出所得税額(税額控除前の金額)を求めなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は100円未満を切り捨てて円単位とすること。なお、Aさんの平成28年分の所得控除の合計額を300万円とし、記載のない事項については考慮しないものとする。
〈資料〉所得税の速算表
問59 解答・解説
所得税の申告納税額に関する問題です。
Aさんの収入は、事業所得と不動産所得、一時所得(一時払終身保険と一時払変額個人年金保険の解約返戻金)ですので、これらを合計して総所得金額を算出し、その後所得控除を差し引いた金額(課税総所得金額)から、税額を算出します。
※総所得金額は、大雑把に言うと、総合課税の所得を合計し、損益通算した後の金額です。
※一時払の養老保険や個人年金保険・変額個人年金などを契約から5年以内に解約した場合、金融類似商品として受取差益に20.315%の源泉分離課税となります。
ただし、金融類似商品の対象条件の一つとして、死亡保険金額が満期保険金額の一定倍率以下とされていますので、満期のない終身保険は該当しません。
よって、本問の一時払終身保険の解約返戻金は一時所得となり、一時払変額個人年金保険の解約返戻金は契約から5年超の解約のため、やはり一時所得となります。
事業所得は既に分かっていますから、まずは不動産所得を計算します。
不動産所得=不動産収入額−必要経費 ですので、
Aさんの不動産所得=860万円−930万円=▲70万円となっており、不動産・事業・山林・譲渡所得の損失は、給与所得や一時所得等の他の所得と損益通算できます。
ただし、不動産所得の損失のうち、土地取得に要した負債の利子相当部分は、他の所得と損益通算できません(建物取得用なら損益通算可)。
つまり、借金して土地を購入した場合、その年は収入より支出が上回って不動産所得が損失となっても、借金の利子分は損益通算の対象外ということです。
よって、土地取得に要した負債の利子48万円は、不動産所得の損失▲70万円から除かれ、▲22万円となります。
また、一時所得=収入額−収入を得るために支出した額−特別控除50万円 ですので、
一時所得=(940万円+640万円)−(1,000万円+500万円)−特別控除50万円=30 万円
さらに、総所得金額を計算する際に、一時所得はその2分の1が合算対象です。
よって、
Aさんの総所得金額=事業所得2,160万円+不動産所得▲22万円+一時所得30万円×1/2
=2,153 万円
最後に、課税総所得金額、算出税額を計算して求めます。
課税総所得金額=総所得金額2,153万円−所得控除合計300万円=1,853万円
算出税額=課税総所得1,853万円×40%−279.6万円=461.6万円
以上により正解は、4,616,000(円)
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