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2017年2月11日実技part1

2017年2月11日実技part1

part1 問題文

●設 例●
【Aさん(70歳)】
大都市圏近郊のX医療法人(耳鼻科クリニック)の理事長。X医療法人は28年前に設立した医療法人で出資持分の定めのある医療法人(経過措置医療法人)である。Aさんは、長男Cさん(40歳)に医業を承継して引退したいと思っている。最近、医師会の他の先生から、出資持分の相続について、今のうちから考えておいたほうがよいとのアドバイスをされた。そこで、税理士に自分の相続が発生した場合の相続税額を試算してもらったところ、その額は約1億9,500万円(配偶者の税額軽減・小規模宅地等の評価減適用前)と見積もられた。
Aさんは、長男Cさんに医業を承継してもらい、二男Dさん(38歳)には相応の財産を相続させ、円滑な遺産分割を望んでいる。

現預金      :1億円
X医療法人出資持分:1億6,000万円
自宅土地(400u):1億5,000万円
自宅建物     :5,000万円
X医療法人土地(400u):1億4,000万円
X医療法人建物:5,000万円(年間家賃800万円)
合計 6億5,000万円

【妻Bさん(68歳)】
X医療法人の社員・理事。出資持分はない。Aさんと自宅で同居している。

【長男Cさん(40歳)】
医学部を卒業後、母校の附属病院に勤務している。X医療法人の社員、そろそろX医療法人に理事として入り、後を引き継ぎたいと思っている。妻と子2人(10歳・7歳)の4人家族であり、附属病院近くの賃貸マンションに暮らしているが、病院を辞めた後は両親との同居を考えている。

【二男Dさん(38歳)】
上場企業に勤務している。妻と子1人(4歳)の3人家族で、賃貸マンションに暮らしている。長男Cさんが父親の医院を継ぐことには異論はないが、相続財産の分割は均等にしてもらいたいと思っている。

【X医療法人の概要】
貸借対照表
 現預金 2億円    資本金 5,000万円
 未収入金 2,000万円 利益剰余金 2億円
 固定資産 3,000万円

資本金(出資金):5,000万円(50,000口)
出資持分:Aさん100%
評価上の会社規模:中会社(Lの割合:0.60)
出資持分の相続税評価額:類似業種比準価額2,000円/口、純資産価額5,000円/口

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part1 ポイント解説

1. 納税資金の不足・相続税の軽減対策

(1) 生命保険の活用
(2) 金庫株の活用(ただし、医療法人の場合はみなし配当課税となり所得税負担増)
(3) 役員退職金支払い(法人税の低減、退職所得控除による所得税低減効果も有り)
(4) 小規模宅地の特例の活用
(5) 医療法人持分の相続税の納税猶予・免除特例の活用

2. 遺産分割対策・事業承継対策

(1) 遺言の作成
(2) 相続時精算課税制度・直系尊属からの住宅取得等資金贈与の非課税制度の活用
(3) 孫への教育資金贈与、結婚・子育て資金贈与の非課税措置の検討

3. 二男Dが納得する遺産分割対策

医療法人持分の相続税の納税猶予・免除特例は、認定移行計画に記載された、出資持分なしの医療法人への移行期限まで納税を猶予する制度で、移行計画の認定日から3年以内に出資持分を放棄すれば、猶予税額は免除される。
よって、医療法人を長男Cに承継することを前提に特例適用することにより、相続税負担を軽減しつつ、病院経営を安定させながら長男に承継することが可能。

また、X医療法人の土地・建物を後継者である長男Cが相続し、自宅土地・建物については妻Bが相続することで、小規模宅地の特例による評価減が適用できる(小規模宅地の特例は、特定事業用400uと特定居住用330uを併用する際は、それぞれ適用可能であり、また特定同族会社事業用宅地等の限度面積は、特定事業用宅地等と併せて400u)。

二男に対しては預貯金を中心に相続させ、不足分についてはX医療法人の利益剰余金が潤沢なため、できるだけ役員退職金や役員報酬を増額しておき、相続発生時の金融資産の確保や二男Dへの生前贈与を行っておくことで、ある程度均等な遺産分割が可能と思われる。

なお、自宅土地・建物については、妻Bに相続させたとしても、長男Cが同居を続けることから将来の二次相続の問題が想定されるため、将来の代償分割を想定し、医療法人の役員報酬や役員退職金を増額しておくことも検討すべきである。

●FPと職業倫理

FPの職業倫理は、顧客利益の優先、守秘義務、説明義務(アカウンタビリティ)、顧客の説明・同意(インフォームド・コンセント)の4つ。
本問では、FPと顧客の利益相反や顧客の秘密漏洩を懸念する局面ではなく、金融商品取引法等における重要事項の説明義務に関わる段階でもなさそうですので、一番重要なのは、様々な相続税の軽減対策・事業承継対策の方法やそれを適用した結果をきちんと説明し、顧客の理解度を確認する「インフォームド・コンセント」ということになるかと思います。

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