問17 2017年9月実技(資産設計)
問17 問題文
隆一さんは、相続した空き家を譲渡した場合の3,000万円の特別控除(以下「3,000万円特別控除」という)があることを聞き、FPの大場さんに相談をした。仮に平成29年中に秋江さんの相続が開始して、秋江さんの自宅を相続後に売却する場合における次の(ア)〜(エ)の記述について、隆一さんの譲渡所得の金額の計算上、3,000万円特別控除の適用対象となるものには○、適用対象とならないものには×を解答欄に記入しなさい。なお、問われている論点以外はすべて手続き、要件および法令に適合しているものとする。また、各々の記述はそれぞれ独立した問題であり、相互に影響を与えないものとする。
・秋江さんは、現在、自宅に一人暮らしをしている。
・秋江さんの相続開始後、秋江さんの自宅は空き家となる。
・秋江さんの自宅は、隆一さんまたは隆一さんの弟が相続する予定である。
(ア)隆一さんが土地と空き家となった家屋を相続により取得し、相続開始の日から1年経過する日の属する年に未利用状態のままであった家屋を取り壊し、同年中に未利用状態のまま敷地であった土地を売却する場合
(イ)隆一さんが土地、隆一さんの弟が空き家となった家屋を相続により取得し、相続開始の日から1年経過する日の属する年中に未利用状態のままであった家屋と敷地である土地を同時に売却する場合
(ウ)隆一さんが土地と空き家となった家屋を相続により取得し、相続開始の日の属する年中に家屋を一時的に賃貸し、その翌年において再び未利用状態となった家屋と敷地である土地を売却する場合
(エ)隆一さんが土地と空き家となった家屋を相続により取得し、相続開始の日の属する年中に未利用状態のままであった家屋を取り壊して敷地であった土地を一時的に賃貸し、その翌年に敷地であった土地を未利用状態にして売却する場合
問17 解答・解説
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除に関する問題です。
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除は、相続や遺贈で取得した被相続人の居住用住宅を、相続開始日から3年後(その年の12月31日)までに、売却額1億円以下で譲渡すると適用されます。
また、特別控除の対象となる住宅は、1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された一戸建てで、被相続人が1人暮らししていた物件です。また、相続発生から譲渡まで事業・貸付・居住用に使われておらず、譲渡時に更地にするか、建物が現在の耐震基準に適合していることが必要です。
(ア)は、○。相続開始日から1年後に、未利用状態の家屋を取り壊して、そのまま未利用状態で更地を売却しているため、特別控除の対象です。
(イ)は、×。空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除は、相続開始直前に被相続人の居住の用に供されていた家屋を売却、または家屋とともにその敷地を売却した場合に適用されるため、敷地のみを相続した場合は対象外となります。
本問の場合、隆一さんが相続したのは敷地だけであり、家屋は隆一さんの弟が相続したわけですから、相続開始後に物件全体を売却したとしても、本特例の対象外となります。
なお、複数の相続人が共有で相続して全体を共同売却した場合には、相続人それぞれで最高3,000万円の控除を受けることが可能です。
(ウ)は、×。空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除は、相続発生から譲渡まで事業・貸付・居住用に使われていない住宅が適用対象ですので、一時的でも賃貸していた場合は、対象外となります。
(エ)は、×。空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除は、相続発生から譲渡まで事業・貸付・居住用に使われていない住宅が適用対象で、家屋を取り壊して敷地だけを賃貸していた場合も、対象外となります。
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