問16 2017年9月実技(資産設計)
問16 問題文
秋江さんは、夫の数馬さんが平成19年に購入した骨董品を、平成24年の数馬さんの相続(単純承認)により取得した。秋江さんがこの骨董品を譲渡したときの平成29年分の収入等が下記<資料>のとおりである場合、秋江さんの平成29年分の所得税額として、正しいものはどれか。なお、復興特別所得税および記載のない事項については考慮しないものとする。
<資料>
遺族厚生年金:70万円
老齢基礎年金・老齢厚生年金:100万円
骨董品の譲渡価額:300万円
(数馬さんが50万円で購入したものである。なお、譲渡費用は発生していない。)
所得控除額:80万円
<公的年金等控除額の速算表>
<所得税の速算表>
(注)課税される所得金額の1,000円未満の端数は切捨て
1. 10,000円
2. 22,500円
3. 35,000円
4. 60,000円
問16 解答・解説
所得税の申告納税額に関する問題です。
所得税を算出するには、その人の各種所得から総所得金額を算出し、そこから所得控除合計を差し引いた課税総所得金額に対して、対応する税率と控除額で計算して求めます。
総所得金額は、大雑把に言うと、総合課税の所得を合計し、損益通算した後の金額です。
本問では、老齢厚生年金・企業年金は公的年金等の雑所得、骨董品の譲渡収入は譲渡所得として総合課税の対象ですので、いずれも総所得金額に含めますが、公的年金のうち、障害・遺族年金は非課税であるため、総所得金額には含めません。
公的年金の雑所得=収入額−公的年金等控除額
=老齢基礎・厚生年金100万円−控除額120万円=−20万円 ←※0円扱い
また、贈与・相続により財産を取得した場合、その取得日・取得費を引き継ぎますので、骨董品の取得費は夫の数馬さんが購入した金額の50万円となり、取得時期も平成19年となります。
ここで、総合課税の譲渡所得は、その資産の取得日を基準として、所有期間が5年を超えると長期譲渡所得となり、短期譲渡所得では全額が総合課税の対象ですが、長期譲渡所得はその2分の1が合算対象です。
総合課税の譲渡所得=譲渡収入−(取得費+譲渡費用)−特別控除50万円
=300万円−(50万円+0円)−50万円=200万円
よって、
総所得金額=公的年金等の雑所得+譲渡所得×1/2
=0円+200万円×1/2=100万円
問題文から所得控除の合計は80万円ですから、
課税総所得金額=総所得金額−所得控除合計=100万円−80万円=20万円
算出税額=課税総所得20万円×5%=1万円
以上により正解は、1. 10,000円
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