問41 2017年9月基礎
問41 問題文
Aさんは、平成22年10月に銀行の住宅ローンを利用して取得した自己の居住用財産を、平成29年5月に2,000万円で譲渡した。Aさんが平成29年分の所得税の確定申告により「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」の適用を受けた場合、下記の〈譲渡資産の内容等〉に基づき、平成30年以降に繰り越すことができる譲渡損失の金額として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
〈譲渡資産の内容等〉
・譲渡価額:2,000万円
・取得費と譲渡費用の合計額:4,000万円
・譲渡契約日の前日の譲渡資産に係る住宅ローン残高:3,000万円
・Aさんの平成29年分の給与所得の金額:780万円(その他の所得はない)
1) 220万円
2) 1,000万円
3) 1,220万円
4) 2,000万円
問41 解答・解説
居住用財産の譲渡所得の特例に関する問題です。
特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除は、住宅ローンのある住宅をそのローン残高を下回る価格で譲渡した場合、損失の損益通算や繰越控除ができる特例です。
本問では譲渡価額2,000万円<住宅ローン残高3,000万円ですので、特例の適用対象です。
譲渡所得=譲渡収入金額−(取得費+譲渡費用)
=2,000万円−4,000万円
=▲2,000万円
本特例ではまず他に損益通算できる所得がある場合には損益通算を行い、それでもなお損失が上回る場合には、残額を翌年以降3年間繰越可能ですが、住宅の売買契約日の前日時点の住宅ローン残高から譲渡価額を差し引いた残額と、譲渡損失の金額のいずれか低い額が損益通算の上限です。
本問の場合、住宅ローン残高3,000万円と譲渡価額2,000万円の差額1,000万円<譲渡損失4,000万円ですので、1,000万円が損益通算の上限です。
従って、損益通算対象額▲1,000万円+給与所得780万円=▲220万円
よって、翌年以降3年間にわたって220万円を損失額として繰り越し、翌年以降の所得と損益通算可能です。
以上により正解は、1)220万円
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