問55 2017年9月応用
問55 問題文
《設例》の〈W社とX社の財務データ〉および〈Yファンド・Zファンドの実績収益率・標準偏差・共分散〉に基づいて、Mさんが、Aさんに対して説明した以下の文章の空欄(1)〜(4)に入る最も適切な語句または数値を、解答用紙に記入しなさい。なお、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までを解答すること。また、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。
T 「 W社とX社の財務データについて比較検討すると、総資産経常利益率ではW社の値が約( 1 )%、X社の値が約□□□%であり、W社の資産効率のほうがよいといえます」
U 「 W社とX社を財務的な安定性を測る指標であるインタレスト・カバレッジ・レシオで比較すると、W社の値が約□□□倍、X社の値が約( 2 )倍であり、X社のほうが財務的な余裕があるといえます」
V 「 W社とX社を株主への利益還元の度合いを測る指標である( 3 )で比較すると、W社の値が約22.64%、X社の値が約19.05%であり、W社のほうが株主への利益還元の度合いが高いといえます」
W 「 YファンドとZファンドをシャープ・レシオで比較した場合、安全資産利子率を0.10%と仮定すると、( 4 )ファンドのほうが効率よく運用されていたと評価することができます」
問55 解答・解説
複数の財務指標による指標値算出に関する問題です。
T総資産(総資本)経常利益率は、経常利益に対する資本効率を示す指標で、ROA(使用総資本事業利益率)の代用指標としても用いられます。
計算式は、総資産経常利益率=経常利益/総資産×100です。
W社の総資産経常利益率=84,000÷5,400,000×100≒1.56%
]社の総資産経常利益率=29,000÷2,300,000×100≒1.26%
よって、W社の方が資産を効率良く使って利益を上げているといえます。
Uインタレスト・カバレッジ・レシオとは、借入金に対する企業の利息支払い能力を示す指標で、これが高ければ、安心して融資できるってことで、銀行等の金融機関が融資の際に参考とする指標でもあります。
インタレスト・カバレッジ・レシオ=事業利益÷金融費用
(事業利益=営業利益+受取利息・配当金、金融費用=支払利息・割引料)
では、問題文の数値を式に当てはめてみましょう。
W社の事業利益=79,000+1,000+2,000=82,000
X社の事業利益=28,000+100+900=29,000
W社の金融費用=3,000
X社の金融費用=900
よって、両者のインタレスト・カバレッジ・レシオは、
W社:82,000÷3,000=27.333倍 ⇒ 27.33倍(小数点以下第3位四捨五入)
X社:29,000÷900=33.222倍 ⇒ 32.22倍(小数点以下第3位四捨五入)
となり、X社のほうが財務的な余裕があるといえます。
V
配当性向=1株当たり配当額÷1株当たり当期純利益×100(%)ですが、配当金支払額÷当期純利益×100(%) でも表せます。当期純利益のうち配当に回した割合を示しているため、配当性向が高い銘柄ほど、株主に対する利益還元の割合が高いと考えることができます。
W社の配当性向=12,000÷53,000×100≒22.64%
]社の配当性向=4,000÷21,000×100≒19.05%
よって、W社のほうが株主への利益還元の度合いが高いといえます。
W
シャープ・レシオ=(ポートフォリオの収益率−安全資産利子率)÷標準偏差 ですが、
シャープ・レシオは、標準偏差で測ったリスク1単位に対して、超過収益率がどれだけあったかを示すものですから、値が大きいほど超過収益率が高い=効率よく運用されている優れた金融商品ということです。
Yのシャープレシオ=(8.25%−0.10%)÷12.5%=0.652
Zのシャープレシオ=(4.75%−0.10%)÷6.25%=0.744
よって、Zファンドのほうが、効率よく運用されていたと評価することができます。
以上により正解は、(1)1.56(%) (2)32.22(倍) (3)配当性向 (4)Z(ファンド)
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