問60 2017年9月応用

問60 問題文と解答・解説

問60 問題文

甲土地に係る建築基準法上の規制および不動産の取得に係る税金に関する以下の文章の空欄(1)〜(10)に入る最も適切な語句または数値を、解答用紙に記入しなさい。

〈建築基準法上の規制〉
T 「 甲土地は準住居地域、第一種中高層住居専用地域および近隣商業地域にまたがっているが、甲土地に建築物を建築する場合、その建築物またはその敷地の全部について、( 1 )地域の建築物の用途に関する規定が適用される」

U 「 建築基準法では、都市計画区域と準都市計画区域内において、用途地域等に応じて、建築物の高さの制限を定めている。甲土地に建築する建築物に適用される高さの制限には道路斜線制限と( 2 )斜線制限があり、さらに第一種中高層住居専用地域内においては、『日影による中高層の建築物の高さの制限』が適用される場合を除き、( 3 )斜線制限がある。
ただし、( 4 )率により計算した採光、通風等が各斜線制限により高さが制限された場合と同程度以上である建築物については、各斜線制限は適用されない」

V 「 建築基準法では、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合(容積率)について、各種の緩和措置を定めている。そのうち『特定道路までの距離による容積率制限の緩和』については、建築物の敷地が、特定道路に接続する幅員6m以上( 5 )m未満の前面道路のうち当該特定道路からの延長が70m以内の部分において接する場合に適用される。
また、容積率の算定の基礎となる延べ面積の計算にあたって、専ら自動車または自転車の停留または駐車のための施設の用途に供する部分(自動車車庫等部分)の床面積は、その敷地内の建築物の各階の床面積の合計の( 6 )を限度として、延べ面積に算入しないこととされている」

〈不動産の取得に係る税金〉
W 「 不動産の所有権を売買、交換、贈与などにより取得した場合、取得者に対して不動産取得税が課される。また、取得した不動産の所有権の移転登記をする場合、登録免許税が課される。
不動産取得税の額は、不動産を取得した時における不動産の価格に税率を乗じて算定されるが、取得した不動産が土地(宅地)である場合、不動産の価格の( 7 )相当額が課税標準額となる。Aさんが平成29年中に甲土地を取得した場合、標準税率により計算した不動産取得税の額は( 8 )万円となる。
登録免許税の額は、課税標準に登記等の区分に応じた税率を乗じて算定されるが、税率には各種の軽減措置が設けられており、土地の売買による所有権の移転登記に対する軽減税率は( 9 )%とされている。Aさんが平成29年中に甲土地を取得し、取得後直ちに所有権の移転登記をする場合、登録免許税の額は( 10 )万円となる」

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問60 解答・解説

建築基準法上の規制と不動産の取得に係る税金に関する問題です。

T 土地の一体利用に関して、建築物の敷地が異なる用途地域にわたる場合、その敷地全体に対して、過半の属する用途地域の用途制限が適用されます。
本問の場合、近隣商業地域部分が250uと最も多くの面積を占めていますが、敷地全体500uのちょうど50%であり、過半(50%超)ではありません。
敷地が3種類以上の用途地域にわたり、過半の属する用途地域がない場合、規制内容の共通する2種類以上の地域の合計と他の地域を比較して、過半の属する用途地域の用途制限が適用されます。
本問の場合、近隣商業地域と準住居地域は、事務所等やホテル・旅館等の商業施設を建築可能ですが、第1種中高層住居専用地域は、「住居専用」なだけあってそれらの商業施設を建築できず、より規制が厳しくなっていますので、近隣商業地域と準住居地域の規制が共通しており、過半を占めます。
近隣商業地域のみ建築可能となる大規模ビルや工場などを建築する場合は、建築不可である準住居と第1種中高層住居専用の合計がちょうど50%で過半を超えません(このような用途地域がちょうど半分ずつになってしまう事例は想定されておらず、建築確認が申請主義であることからより有利な方で申請することが多いようです)。
このため、本問の場合は結果的に、敷地全体に原則として近隣商業地域の用途制限が適用されることになります。

U 建築基準法では、隣地の日当たり確保や火災の際の安全などのため、都市計画区域と準都市計画区域内で、用途地域に応じた建築物の高さ制限を定めています。
斜線制限(日照や通風確保のため)
 ・道路斜線制限:すべての用途地域に適用
 ・隣地斜線制限:第1種・第2種低層住居専用地域には適用なし
 ・北側斜線制限:住居専用地域のみ適用
よって、甲土地には道路斜線制限と隣地斜線制限が適用され、第1種中高層住居専用地域内では北側斜線制限が適用されます(日影規制(日影による中高層の建築物の高さ制限)の適用対象を除く)。
なお、一定の基準に適合する建築物には斜線制限を適用しないという緩和措置として、「天空率による斜線(高さ)制限の緩和」があります。
※ 「天空」とは、地上から空を見上げたとき、建物等によって遮られない空の広がりで、「天空率」は、道路の反対側(隣地)から空を見上げたときの、その建物による天空の程度を示した値です。

V 前面道路幅員が6m以上12m未満で、その前面道路からの距離が70m以内で幅員15m以上の道路(特定道路)に接続している場合、前面道路幅員に一定の値が加算されます(特定道路による容積率制限の緩和)。
また、自動車や自転車の車庫部分は、建物の各階床面積合計の5分の1を上限に、延べ面積に算入しません

W 不動産取得税の税率の特例により、平成30年3月31日までに不動産を取得した場合、土地の不動産取得税率は3%で、課税標準は宅地の場合固定資産課税台帳登録価額の2分の1です。よってAさんの場合は、8,000万円×1/2×3%=120万円です。
また、土地の所有権移転登記に係る登録免許税の課税標準は、固定資産課税台帳登録価格(前年12月31日かその年の1月1日現在)で、税率は平成29年3月31日まで税率2.0%から1.5%に軽減されてます。よってAさんの場合は、8,000万円×1.5%=120万円です。

以上により正解は、(1)近隣商業(地域) (2)隣地(斜線制限) (3)北側(斜線制限)
(4)天空(率) (5)12(m) (6)5分の1 (7)2分の1
(8)120(万円) (9)1.5(%) (10)120(万円)

第4問          問61

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