問17 2018年1月基礎
問17 問題文
各種信託商品の一般的な特徴に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1) 暦年贈与信託は、信託設定時に委託者と受益者の意思確認が行われ、毎年のあらかじめ決められた日に、自動的に受託者が受益者に一定額を振込送金する信託である。
2) 教育資金贈与信託の委託者は、受益者の直系尊属であり、かつ、信託契約を締結する日において60歳以上の者とされている。
3) 特定贈与信託は、委託者が拠出する信託財産について、受益者が特別障害者の場合は8,000万円、特別障害者以外の特定障害者の場合は5,000万円を限度に贈与税が非課税とされる。
4) 後見制度支援信託は、被後見人の生活の安定に資することを目的に設定される信託であり、信託財産は金銭に限定されている。
問17 解答・解説
信託商品の特徴に関する問題です。
1) は、不適切。暦年贈与信託は、親や祖父母等の委託者が信託銀行に信託財産を拠出し、毎年一定額を子や孫等の受益者に贈与する信託商品で、毎年贈与契約書を締結することで、贈与税の基礎控除110万円まで非課税で贈与が可能になります。
よって、毎年委託者と受益者の贈与契約の意思確認が行われ、贈与契約の手続きが完了してから、信託銀行等の受託者から受益者に対して指定金額が振り込まれます(毎年、同時期・同金額の贈与は、連年贈与として贈与税が課される恐れがあるため)。
2) は、不適切。教育資金贈与信託は、いわゆる教育資金の非課税特例を利用するための金融商品で、非課税特例を受けるために、教育資金として信託銀行等の取扱い金融機関に預け入れ、教育資金管理契約を締結することが必要となります。教育資金の非課税特例は、受贈者は30歳未満(教育資金管理契約の締結日時点)である必要があるため、教育資金贈与信託においても、受益者は信託契約締結日時点で30歳未満であることが必要となりますが、委託者は受益者の直系尊属であれば、年齢制限はありません。
3) は、不適切。特定贈与信託は、特別障害者(重度の心身障害者)の生活の安定を図るために、親族や篤志家等個人が、信託銀行等に金銭等の財産を信託する制度で、受益者が特別障害者の場合は6,000万円、特別障害者以外の特定障害者の場合は3,000万円まで贈与税が非課税となります。
4) は、適切。後見制度支援信託は、被後見人にとって日常生活で必要な分を除いた金銭を、信託銀行等に信託する仕組みで、被後見人の生活の安定を目的に、信託財産を金銭に限定して設定されるものです。後見制度支援信託は、信託契約の締結や信託財産の払い戻し、信託契約の変更・解約には、家庭裁判所の指示書が必要になるため、後見人による勝手な払戻しや解約を防ぐ効果が期待できます。
よって正解は、4)
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