問27 2018年1月基礎

問27 問題文と解答・解説

問27 問題文

居住者であるAさんの平成29年分の各種所得の収入金額等が下記のとおりであった場合の損益通算後の所得金額として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。

●勤務先から給与を受け取ったことによる所得(給与所得)
収入金額:180万円
給与所得控除額: 72万円

●勤務先から退職金を受け取ったことによる所得(退職所得)
収入金額:1,800万円
退職所得控除額:1,500万円(勤続年数30年)

●賃貸アパートの経営による所得(不動産所得)
総収入金額:200万円
必要経費 :350万円
(当該所得を生ずべき土地の取得に要した負債の利子20万円を含んだ金額)

●生命保険の解約返戻金を受け取ったことによる所得(一時所得)
総収入金額:290万円
収入を得るために支出した金額:300万円

1) 108万円

2) 118万円

3) 128万円

4) 139万円

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問27 解答・解説

総所得金額等に関する問題です。

総所得金額は、大雑把に言うと、総合課税の所得を合計し、損益通算した後の金額ですが、総所得金額“等”は、総所得金額に分離課税の所得を加え、純損失・雑損失の繰越控除をしたものです。

本問では、給与所得と不動産所得、一時所得は総合課税、退職所得は分離課税の対象です。
また、不動産・事業・山林・譲渡所得の損失は、給与所得や一時所得等の他の所得と損益通算できます。
純損失や雑損失の繰越控除に関する記載はないため、各所得を損益通算し、算出された総所得金額が総所得金額”等”となります。

まず、給与所得=給与収入−給与所得控除 ですので、本問の場合には、
給与所得=180万円−72万円=108万円

次に、不動産所得=不動産収入−必要経費 ですので、本問の場合は、
不動産所得=200万円−350万円=▲150万円
ただし、不動産所得の損失のうち、土地取得に要した負債の利子相当部分は、他の所得と損益通算できません
つまり、借金して土地を購入した場合、その年は収入より支出が上回って不動産所得が損失となっても、借金の利子分は損益通算の対象外ということです。
よって、本問の場合、不動産所得▲150万円のうち、土地の取得に要した借入金の利子20万円は、損益通算の対象外ですので、損益通算の対象となる不動産所得の損失は130万円です。

また、一時所得=収入額−収入を得るために支出した額−特別控除50万円 ですので、
一時所得=290万円−300万円−特別控除50万円=▲60万円 ←※0円扱い
※一時所得の計算の結果、マイナスとなった場合には、所得がなかったものとして、0円とされます。

ここで、所得税の損益通算は、経常グループ(利子・配当・不動産・事業・給与・雑)と、臨時グループ(譲渡・一時)の各グループ内で損益通算し、控除しきれない損失は各グループ同士で控除し、その後は山林⇒退職の順に控除していきます。
さらに、山林所得の損失は、経常⇒臨時⇒退職の順番に控除します。

退職所得=(退職収入−退職所得控除)×1/2 ですので、本問の場合は、
退職所得=(1,800万円−1,500万円)×1/2=150万円

以上により、経常グループの損益通算後の所得金額=給与所得+不動産所得
=108万円+▲130万円=▲22万円
経常と臨時グループの損益通算後の所得金額=▲22万円+0円=▲22万円

総所得金額等=▲22万円+退職所得150万円
      =128万円

よって正解は、3)

問26      問28

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