問33 2018年1月基礎

問33 問題文と解答・解説

問33 問題文

X株式会社(以下、「X社」という)とその役員の間の取引における法人税および所得税の取扱いに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1) X社が所有する社宅をその規模等に応じた所定の方法により計算した通常支払われるべき賃貸料よりも低い家賃で役員に貸し付けた場合、役員側では実際に支払った賃貸料との差額が給与所得の収入金額として課税対象となる。

2) 役員が所有する資産を適正な時価の2分の1未満の価額でX社に譲渡した場合、役員側では時価で譲渡したものとみなされ、時価と譲渡価額との差額が給与所得の収入金額として課税対象となる。

3) X社が役員から無利息で金銭を借り入れた場合、原則として、役員側では通常支払われるべき利息が雑所得の収入金額として課税対象となる。

4) 役員が所有する土地をX社に建物の所有を目的として賃貸する場合に、X社から役員に権利金の支払がないときは、原則として、X社側では借地権相当額が受贈益として益金算入となり、役員側では借地権相当額が譲渡所得の収入金額として課税対象となる。

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問33 解答・解説

法人と役員間の取引における課税に関する問題です。

1) は、適切。役員は法人から、本来徴収される適正な賃料よりも安い賃料で貸与してもらえたわけです。従って、本来徴収されるはずの適正な賃料相当額と役員が負担した賃料との差額が、給与所得として課税されます。

2) は、不適切。法人は役員から、もっと高いはずの資産を安く買い入れたわけです。
このような場合、法人側では時価が取得価額となり、時価と売買価額の差額が受贈益として取り扱われます。役員側では、売買価額が時価の2分の1未満の場合、差額がみなし譲渡所得として課税されます。

3) は、不適切。会社は借金をしているのですから、本来一定の利子を支払う必要がありますが、役員が無利子で貸してくれたわけです。このような場合、役員側では本来受け取れる利子額について、課税されません
個人である役員は、必ずしも営利だけを目的に行動するとは限らないため、無利子で自社や他社(例:親戚や友人の会社等)に自分のお金を貸すことがあり得ます。
このため無利子での貸付でも課税はされません

4) は、不適切。法人が役員保有の土地を建物の所有を目的として賃借する場合、法人から役員へ権利金や相当の地代の支払がなく、「土地の無償返還に関する届出書」についても提出がないときは、法人側では原則として借地権の受贈益が認定課税(権利金の慣習がある地域の場合は権利金相当額)されます。
また、地主が個人の場合、認定課税はされません(役員側では課税なし)。これは、個人の場合、法人と違って必ずしも経済的利害だけで取引が行われるとは限らないため、無償による資産の譲渡や役務の提供は収入があるとみなさないためです。

よって正解は、1)

問32      問34

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