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2018年2月11日実技part1

2018年2月11日実技part1

part1 問題文

●設 例●
Aさん(65歳)は、大都市圏の中心部から電車で15分ほどの場所に住んでおり、父親から相続した先祖代々の土地で不動産賃貸業(個人)を営んでいる。Aさんは、所有する賃貸物件の管理を妻Bさん(62歳)を代表者とする不動産管理会社X社に任せており、X社の管理収入はAさんの不動産収入の10%としている。Aさんの年間の不動産収入は約6,000万円(不動産所得の金額は4,000万円)であり、所得税および住民税の額は約1,700万円である。Aさんは、最近、減価償却費が少なくなり、税金の負担が大きくなったと感じている。先日、金融機関から「不動産管理会社に融資するので、賃貸不動産を不動産管理会社に売却して所得の分散を図ってはどうか」という提案を受けたが、よくわからない。
Aさんは、妻Bさんおよび地元企業に勤務する長男Cさん(37歳)家族と暮らしている。Aさんは、自身の相続について、自宅は妻Bさんに相続させるが、残りの財産については長男Cさんに相続させ、先祖代々の土地を守ってもらいたいと思っている。長男Cさんは、Aさんの不動産賃貸業をゆくゆくは引き継ぎたいと思っているようである。Aさんは、長女Dさん(35歳)および二男Eさん(32歳)には、長男Cさんから各人にある程度の現金を渡してやれば、納得するであろうと考えているが、長男Cさんと長女Dさんは、日頃から折り合いが悪く、Aさんの悩みの種である。Aさんは、自身の相続が発生した際に遺産分割で家族が争うことがないようにしたいと思っている。二男Eさんは、現在独身であるが、近々結婚を予定しており、住宅の購入資金を援助してほしいと言っている。
なお、Aさんの相続に係る相続税の総額は、約2億6,000万円(配偶者の税額軽減および小規模宅地等の評価減適用前)と見積もられている。

【Aさんの家族構成】
妻Bさん (62歳):X社代表(給与収入500万円)。Aさんと同居。
長男Cさん(37歳):会社員。妻と子2人がおり、Aさん夫妻と同居。
長女Dさん(35歳):専業主婦。夫と子1人で戸建て住宅(持家)に居住。
二男Eさん(32歳):地方公務員。独身寮に住んでいるが、近々結婚の予定。

【Aさんの所有財産の概要】(相続税評価額、土地は小規模宅地等の評価減適用前)
1.現預金:1億2,000万円
2.自宅
 (1)土地(300u):9,000万円
 (2)建物:3,000万円
3.雑種地(300u):1億円(青空駐車場として利用している)
4.賃貸マンションT
 (1)土地(900u):2億7,000万円
 (2)建物:9,000万円
5.賃貸マンションU
 (1)土地(300u):1億円
 (2)建物:5,000万円

合計 8億5,000万円

【親族関係図】

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part1 ポイント解説

1. 納税資金の不足、所得税・住民税・相続税の軽減対策

(1) 生命保険・金庫株の活用
(2) 小規模宅地の特例の活用
(3) 法人への不動産の売却

2. 遺産分割対策・事業承継対策

(1) 遺言の作成
(2) 相続時精算課税制度・直系尊属からの住宅取得等資金贈与の非課税制度の活用
(3) 孫への教育資金贈与の非課税措置の検討
(4) 2次相続を想定した非上場株式の相続税・贈与税の納税猶予制度の活用

3. 法人への不動産売却のメリット・デメリット

◆メリット
・賃貸収入は法人のものとなるため、法人税の比例税率と所得分散による所得税軽減効果有り。
・相続発生の際、不動産ではなく株式の相続となるため、純資産価額方式による評価となっても相続税負担の軽減効果有り。またより分割しやすい資産となるため、スムーズな遺産分割効果有り。

◆デメリット
・法人側には不動産取得による登録免許税・不動産取得税、オーナー側には保有不動産の法人への譲渡による譲渡所得税の負担有り。
株式の散逸により不動産の帰属が曖昧になる可能性有り。
・賃貸収入は法人のものとなるため、オーナーが自由に使えるお金に制限がかかるようになる(役員報酬の範囲内)。

◆他の方策の提案
土地の名義は個人のままとし、建物のみ法人に譲渡することで、不動産収入の所得分散を図りつつ、将来の相続時に土地を法人に譲渡することで、納税資金を捻出する方法を提案する。
法人は個人の土地を借りる形となるため、税務署に「土地の無償返還に関する届出書」を提出することで、借地権の認定課税を避けることができる。さらに、土地は貸宅地となり、相続時には自用地価額の80%相当額として評価されるため、相続税対策にもなる。
土地の20%減額評価分は法人の株式評価に加算されるが、非上場株式の贈与税の納税猶予特例等で、後継者に株式の大半を生前贈与しておけば、相続税評価には反映されない。

4. 先祖代々の土地を守るための遺産分割対策

現在の賃貸不動産について、個人所有のまま数代にわたって相続を継続していくと、相続税負担により将来的に売却が必要となる局面も想定される。
これに対し、所有不動産を生前もしくは相続時に徐々に法人に譲渡し、後継者が過半数以上の株式を保有した上で非上場株式の相続税・贈与税の納税猶予制度を活用していくことで、相続税負担を軽減しながら、先祖代々の土地を法人として守っていくことが可能となる。ただし、単純な資産管理会社は非上場株式の相続税・贈与税の納税猶予制度の対象外であるため、実態のある事業の3年以上実施・常時使用従業員数5人以上・事業所の所有または賃貸といった事業実態要件を満たすことが必要。

5. 相続人間の平等な相続方法

長男CさんがAさんの不動産賃貸業を承継する場合、長男Cさんの相続分が多くなる可能性が高いため、折り合いの悪い長女Dさんはもちろんのこと、二男Eさんとの間にも相続トラブルが発生する可能性がある。従って、長女Dさんや二男Eさんを受取人とした生命保険の加入や、長男Cさんを不動産管理会社X社の役員として役員報酬を受け取らせ、それを原資とした代償分割(相続後に分割払い)も必要と思われる。
また、Aさんの妻の相続発生時(二次相続時)に、長女Dや二男Eにより多くの遺産を相続させることも検討可能(遺産分割協議の中でこれらを記した公正証書遺言や贈与契約書の内容を検討することが望ましい)。

さらに、教育資金の非課税特例や、相続時精算課税制度・直系尊属からの住宅取得等資金贈与の非課税制度の活用により、積極的な長女D・二男Eへの生前贈与も検討できる。

●FPと職業倫理

FPの職業倫理は、顧客利益の優先、守秘義務、説明義務(アカウンタビリティ)、顧客の説明・同意(インフォームド・コンセント)の4つ。
本問では、FPと顧客の利益相反や顧客の秘密漏洩を懸念する局面ではなく、金融商品取引法等における重要事項の説明義務に関わる段階でもなさそうですので、一番重要なのは、様々な所得税・相続税の軽減対策・事業承継対策の方法やそれを適用した結果をきちんと説明し顧客の理解度を確認する「インフォームド・コンセント」ということになるかと思います。

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