問11 2018年9月基礎

問11 問題文と解答・解説

問11 問題文

個人年金保険の課税関係に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、契約者(=保険料負担者)・被保険者・年金受取人は同一人であり、契約者は個人(居住者)であるものとする。また、記載のない事項については考慮しないものとする。

1) 一時払変額個人年金保険(終身年金)を保険期間の初日から5年以内に解約し、解約差益が生じた場合、その解約差益は源泉分離課税の対象となる。

2) 年末調整の対象となる給与所得者が、一時払変額個人年金保険(終身年金)を保険期間の初日から10年経過後に解約し、払い込んだ一時払保険料が200万円、受け取った解約返戻金額が280万円である場合、一時所得の金額が20万円を超えるため、その年分の所得税について確定申告書を提出しなければならない。

3) 定額個人年金保険(10年確定年金)において、生命保険会社が支払う年金額が年間25万円以上である場合、その支払の際に10.21%の税率により所得税および復興特別所得税が源泉徴収される。

4) 定額個人年金保険(保証期間付終身年金)の年金受取人が、年金支払開始日後に保証期間分の年金額を一括して受け取った場合、その一時金は雑所得として所得税の課税対象となる。

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問11 解答・解説

個人年金に関する問題です。

1) は、不適切。一時払の養老保険や個人年金保険・変額個人年金などを契約から5年以内に解約した場合、金融類似商品として受取差益に20.315%の源泉分離課税となります。
ただし、金融類似商品の対象条件の一つとして、死亡保険金額が満期保険金額の一定倍率以下とされていますので、満期のない終身保険は該当しません。
従って、一時払でも終身年金を選択している場合は、5年以内に解約しても、解約返戻金は一時所得の収入金額として総合課税の対象です。

2) は、不適切。一時払の養老保険や個人年金保険・変額個人年金などを契約から5年以内に解約(満期による契約満了含む)した場合、金融類似商品として受取差益に20.315%の源泉分離課税となります(復興特別所得税を含む)。本問の場合、契約から解約までに5年超であるため、受け取った解約返戻金は、一時所得の収入として総合課税の対象です。
ここで、給与所得や退職所得を除いた各種所得の合計が20万円を超える場合は、給与所得者でも確定申告する必要があります。 ただし、一時所得は総所得金額を計算する際に、その2分の1が合算対象のため、確定申告の要否も2分の1が20万円を超えるかで判断します。
一時所得=280万円−200万円−特別控除50万円=30万円
従って、その2分の1の額:15万円<20万円 ですので、確定申告不要です。

3) は、不適切。契約者と年金受取人が同じである個人年金の場合、受け取った年金額から対応する払込保険料を差し引いた額が25万円以上になると、所得税と復興特別所得税として10.21%が源泉徴収されます。

4) は、適切。保証期間付終身年金は、保証期間中は被保険者の生死に関係なく年金が受け取れ、保証期間経過後は生存している限り、年金を受け取ることができる保険です。
ただし、年金支払開始日後に保証期間分の年金額を一時金として受け取ることも可能で、保証期間終了後も被保険者が生存している間は再び年金が受け取れるため、一括して受け取った一時金は雑所得となります(通常、個人年金の一時金は一時所得ですが、保証期間付終身年金の一時金は「将来の年金給付の総額に代えて支払われるもの」に該当しないため、雑所得とされています。)。

よって正解は、4

問10      問12

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