問63 2018年9月応用

問63 問題文と解答・解説

問63 問題文

仮に、Aさんが現時点(平成30年9月9日)において死亡し、《設例》の〈Aさんが保有する財産の分割内容〉に基づき、相続人等が相続または遺贈により財産を取得する場合、各相続人等に係る相続税の課税価格および相続税の課税価格の合計額を求めた下記の表の空欄(1)〜(8)に入る適切な数値を、解答用紙に記入しなさい。
なお、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」を妻Bさんが取得する自宅の敷地と長女Dさんが取得する賃貸アパートの敷地に適用し、自宅の敷地を優先して適用することとする。また、表中の「***」は、問題の性質上、伏せてある。

(単位:万円)

(注1)「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」適用後の金額とする。
(注2)「死亡保険金の非課税金額の規定」による非課税金額控除後の金額とする。
(注3)相続時精算課税等の適用を受けた財産を含む。

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問63 解答・解説

相続税の課税価格に関する問題です。

まず(1)の賃貸アパートの建物の評価額については、貸家の評価額=自用家屋評価額×(1−借家権割合×賃貸割合)です。
また、自用家屋(自宅)の評価額=固定資産税評価額×1.0 です。
よって、
(1)賃貸アパート(建物)の評価額=2,000万円×(1−30%×100%)
                =1,400万円

次に、(2)の自宅の敷地と(3)の賃貸アパートの敷地の評価額について、小規模宅地の特例は、特定居住用は330uを上限に80%減額、特定事業用は400uを上限に80%減額、貸付事業用は200uを上限に50%減額となります。
小規模宅地の特例による評価減額=自用地評価額×適用上限/敷地面積×減額割合
ただし、適用可能面積はそれぞれの上限までであり、一方の超過分をもう一方から差し引くことはできないため、貸付事業用との併用は、特例を適用する敷地面積に応じて調整計算する必要があります。
本問の場合、特定居住用の自宅敷地は264uで上限の330uまで達していないため、上限に対して余った割合として、
(1−264u/330u)×100=20%を賃貸アパートの敷地に適用できます。

さらに、小規模宅地の特例は、貸付事業用は200uを上限に50%減額となりますが、賃貸アパートの敷地などの、自分が所有する土地に建築した家屋を他に貸し付けている場合の土地は、借地権や借家権分が減額評価された貸家建付地としての評価額に対して特例適用されます。
貸家建付地の評価額=自用地評価額×(1−借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
よって賃貸アパートの敷地評価額=8,000万円×(1−60%×30%×100%)=6,560万円

従って、特定居住用と貸付事業用を併用する場合、減額される金額は以下の通り。
特定居住用:自宅敷地6,200万円×264u/264u×80%=4,960万円
貸付事業用:賃貸アパートの敷地6,560万円×20%×200u/400u×50%=328万円
よって、特例適用後のそれぞれの相続税評価額は、
(2)自宅敷地:6,200万円−4,960万円=1,240万円
(3)賃貸アパートの敷地:6,560万円−328万円=6,232万円

次に、(4)の生命保険金ですが、生命保険の契約者と被保険者が同じで、保険金受取人が異なり、受取人が相続人となる場合、支払われる死亡保険金は、みなし相続財産として、相続税の課税対象となります。ただし、「500万円×法定相続人の数」までは非課税となり、相続税の基礎控除と同様に、養子の場合は実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人まで法定相続人とすることができます。
本問の場合、妻Bさんには実子である長女Dさん・二女Eさんと、長男Cさんの代襲相続人である孫Fさん・Gさんがおり、既に孫Hさん・Iさんが普通養子になっているため、法定相続人としてカウントできるのは1人分のみということになり、法定相続人は配偶者・実子2人・代襲相続人2人・養子1人分の計6人となります。
よって死亡保険金の非課税枠は、500万円×6人=3,000万円 です。
ただし、死亡保険金の非課税枠は受け取った保険金の割合に応じた額となります。

よって本問の場合、妻の受取割合は10分の6(非課税枠が適用される保険金総額4,000万円+6,000万円=1億円のうち、6,000万円受取)、長女の受取割合は残りの10分の4となります。
妻の非課税枠=500万円×6人×6/10=1,800万円
長女の非課税枠=500万円×6人×4/10=1,200万円
相続税課税価格への算入額=受取保険金額−非課税枠 ですので、
妻の相続税課税価格への算入額=死亡保険金6,000万円−非課税枠1,800万円=4,200万円
長女の相続税課税価格への算入額=死亡保険金4,000万円−非課税枠1,200万円=2,800万円
よって(4)の正解は、4,200万円

次に、(5)の生前贈与財産ですが、相続時精算課税の適用を受けると、贈与された財産は贈与時の価額で、相続税の課税価格に加算されます。
本問の場合、長女Dさんは、贈与された有価証券について相続時精算課税の適用を受けていますので、贈与時の評価額で相続税が計算されます。
よって(5)の正解は、500万円
また、教育資金の非課税特例を受けた場合には、相続開始前3年以内に贈与された財産であっても、相続税の課税価格に加算されません(3年内贈与加算の適用除外)。
これに対し、結婚・子育ての非課税特例では、資金管理契約の締結日から終了日までに贈与者が死亡した場合、その時点の残額が相続税の課税価格に加算されます。
よって孫Fさんへの贈与は相続税の課税価格に加算されませんが、二女Eさんへの贈与については残額が加算されます。

以上により、各相続人の相続税の課税価格の合計は、以下の通りとなります。
妻B :5,000万円+800万円+1,240万円+4,200万円=11,240万円
長女D:1,000万円+500万円+1,400万円+6,232万円+2,800万円+500万円=12,432万円
二女E:2,500万円+700万円+400万円=3,600万円
孫F :300万円+0円=300万円
弟J :1,000万円+800万円=1,800万円

相続税の課税価格の合計額:11,240万円+12,432万円+3,600万円+300万円+1,800万円=29,372万円

以上により正解は、(1)1,400(万円) (2)1,240(万円) (3)6,232(万円)
(4)4,200(万円) (5)500(万円) (6)3,600(万円)
(7)300(万円) (8)29,372(万円)

第5問          問64

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