問64　2018年9月応用

仮に、Ａさんが現時点（平成30年９月９日）において死亡し、前問《問63》の計算結果にかかわらず、弟Ｊさんに係る相続税の課税価格が1,800万円、相続税の課税価格の合計額が３億円である場合、(1)相続税の総額および(2)弟Ｊさんの納付すべき相続税額をそれぞれ求めなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は円単位とすること。
なお、弟Ｊさんの納付すべき相続税額の計算にあたって、相続財産の取得者間における按分割合の調整は行わないものとする。

〈資料〉相続税の速算表

相続税の総額・相続人が納付する相続税額に関する問題です。

相続税の計算は、課税遺産総額をそれぞれ法定相続分に分割し、分割後の金額に応じた税率で算出します。

相続税の基礎控除は、3,000万円＋法定相続人の数×600万円ですが、相続税法上、養子は実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人まで法定相続人とすることができます。
また、配偶者は常に法定相続人となり、それ以外の親族は、子・直系尊属・兄弟姉妹の順に、先の順位者がいない場合に、法定相続人となります。
さらに、被相続人が死亡するよりも先に相続人が死亡した場合、その相続人の直系卑属が代襲相続人として、相続人に代わって相続します。

従って、本問における法定相続人は、配偶者である妻B、長女D、二女E、長男Cの代襲相続人である孫F・G、養子1人分の6人となります。
よって、相続税の基礎控除＝3,000万円＋6人×600万円＝6,600万円　です。

よって、課税遺産総額＝3億円−6,600万円＝2億3,400万円　です。

妻Ｂさんの法定相続分は1／2、長女Dさん・二女Eさん・養子1人分の法定相続分は1／8（1／2÷4）、孫Fさん・孫Gさんの法定相続分はそれぞれ1／16ずつ（1／8÷2）。

妻Ｂの法定相続分の相続税　　　：2億3,400万円×1／2×40%−1,700万円＝2,980万円
長女Ｄの法定相続分の相続税　　：2億3,400万円×1／8×15%−50万円＝388.75万円
二女Ｅの法定相続分の相続税　　：2億3,400万円×1／8×15%−50万円＝388.75万円
養子１人分の法定相続分の相続税：2億3,400万円×1／8×15%−50万円＝388.75万円
孫Ｆの法定相続分の相続税　　　：2億3,400万円×1／16×15%−50万円＝169.375万円
孫Ｇの法定相続分の相続税　　　：2億3,400万円×1／16×15%−50万円＝169.375万円

従って、相続税の総額＝2,980万円＋388.75万円＋388.75万円＋388.75万円＋169.375万円＋169.375万円＝4,485 万円 　です。

次に、相続税の納税義務者は、相続・遺贈（死因贈与を含む）により財産を取得した個人で、納付すべき相続税額の計算式は以下の通りです。
各相続人等の相続税＝相続税の総額×各人の課税価格／課税価格の合計額

弟Jさんの課税価格は1,800万円、課税価格の合計額は3億円ですから、
4,485 万円×(1,800万円／3億円)＝269.1万円

ただし、被相続人の一親等の血族及び配偶者以外の人が、相続や遺贈で財産を取得した場合、相続税額の２割相当額が加算されます。
一親等の血族とは、要は親子関係です。弟Jさんは、Aさんとは親子関係であるわけではありませんので、2割加算の対象です。

従って弟Jさんが納付する相続税は、269.1万円×1.2＝322.92万円

以上により正解は、(1)44,850,000（円）　(2)3,229,200（円）

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