問44 2019年1月基礎
問44 問題文
民法における遺言に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1) 公正証書遺言を作成する場合、証人2人以上の立会いが必要であるが、遺言者の推定相続人および受遺者ならびにこれらの配偶者および直系血族は、この証人になることはできない。
2) 遺言者が、公正証書遺言と自筆証書遺言を作成しており、それぞれの内容が異なっている場合、その異なっている部分について作成日付の新しい遺言の内容が効力を有する。
3) 公正証書遺言の遺言者が、公正証書遺言の正本を故意に破棄したときは、その破棄した部分について遺言を撤回したものとみなされる。
4) 秘密証書遺言の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。
問44 解答・解説
遺言に関する問題です。
1) は、適切。公正証書遺言は、作成時に2名以上の証人の立会いが必要ですが、推定相続人や受遺者等(その人の配偶者や直系血族も含む)は証人になれません(受遺者:遺言で財産を受け取る予定の人)。
つまり、遺言の内容に対して利害がある人は証人になれないわけです。
2) は、適切。遺言の撤回は、遺言書の形式に関わらず可能なため、新しい遺言書が有効となります。
また、前の遺言が後の遺言と抵触する場合、抵触部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされます。
つまり、遺言者は、遺言の一部だけを撤回できます。後から気が変わって「やっぱりあいつには相続させたくない!」と思えばその部分だけ撤回できるわけです。
3) は、不適切。遺言者が故意で遺言書を破棄すると、破棄した部分は、遺言を撤回したものとみなされますが、公正証書遺言の場合、遺言者の手元にある遺言の正本を破棄しても、原本が公証役場にあるため、遺言を撤回したとみなされません。
●原本:作成者が最初に作成した文書
●正本:原本をもとに、原本と同一の効果があるものとして作成されたもの
4) は、適切。秘密証書遺言は、相続開始後に、家庭裁判所での検認が必要です。これに対し公正証書遺言は検認不要です。
なお法改正により、自筆証書遺言は、2020年7月10日からは、法務局に保管しておいた場合には、検認不要となる予定です。
よって正解は、3
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