問44 2019年9月基礎
問44 問題文
2019年中に死亡したAさんの下記の親族関係図に基づき、民法における相続分等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、Aさんの父母、継母および兄はAさんの相続開始前に死亡している。また、妻Bさん、姉Cさん、異母弟Dさん、異母妹Eさん、姪Fさんおよび甥Gさんは、いずれもAさんから相続または遺贈により財産を取得し、相続税額が算出されるものとする。
〈被相続人Aさんの親族関係図〉
1) 異母弟Dさんの法定相続分は、16分の1である。
2) 相続税額の計算における遺産に係る基礎控除額は、6,000万円である。
3) 相続税額の計算上、相続税額の2割加算の対象となる者は、姉Cさん、異母弟Dさん、異母妹Eさん、姪Fさんおよび甥Gさんの5人である。
4) 甥Gさんは、Aさんの相続が開始した日において20歳未満であっても、相続税額の計算上、未成年者控除の適用を受けることができない。
問44 解答・解説
法定相続分に関する問題です。
1) は、不適切。配偶者は常に法定相続人となり、それ以外の親族は、子・直系尊属・兄弟姉妹の順に、先の順位者がいない場合に、法定相続人となります。
Aさんに子はなく、直系尊属も既に死亡しているため、法定相続人は妻Bさんと姉Cさんと代襲相続人の姪Fさん、異母弟Dさんと異母妹Eさんの5人です。
配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合、法定相続分は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1となります。
ただし、被相続人と相続人が兄弟姉妹の場合、両親のどちらかだけが同じである兄弟姉妹(半血兄弟姉妹)の法定相続分は、両親が同じである兄弟姉妹(全血兄弟姉妹)の法定相続分の2分の1となります。
従って本問の場合、妻Bさんの法定相続分は4分の3ですが、兄弟姉妹分4分の1は4人で等分するのではなく、全血と半血の相続分は2:1の割合になります。
つまり、兄弟姉妹の人数としては全血2名と半血2名ですが、半血が全血の2分の1の割合とすると、全血は4分の1を1/(全血2名+半血2名×1/2)で割り、半血はそのさらに2分の1ということになります。
姉C :兄弟姉妹分1/4×{1/(全血2名+半血2名×1/2)}=1/12
姪F :兄弟姉妹分1/4×{1/(全血2名+半血2名×1/2)}=1/12
異母弟D:兄弟姉妹分1/4×{1/(全血2名+半血2名×1/2)}×1/2=1/24
異母妹E:兄弟姉妹分1/4×{1/(全血2名+半血2名×1/2)}×1/2=1/24
よって、異母弟Dさんの法定相続分は、24分の1です。
2) は、適切。相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数です。
また、配偶者は常に法定相続人となり、それ以外の親族は、子・直系尊属・兄弟姉妹の順に、先の順位者がいない場合に、法定相続人となります。
従って、本問における法定相続人は、法定相続人は妻Bさんと姉Cさんと代襲相続人の姪Fさん、異母弟Dさんと異母妹Eさんの5人です(民法上の法定相続分のように、全血と半血による区別はありません)。
よって、相続税の基礎控除:3,000万円+600万円×5人=6,000万円 です。
3) は、適切。被相続人の一親等の血族及び配偶者以外の人が、相続や遺贈で財産を取得した場合、相続税額の2割相当額が加算されます。
一親等の血族とは、被相続人の父・母・子(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含む)ですので、本問の場合、姉Cさん、異母弟Dさん、異母妹Eさん、姪Fさんおよび甥Gさんの5人はいずれも被相続人Aさんと親子関係ではありませんので、相続や遺贈で財産を取得した場合には、相続税額の2割加算の対象です。
4) は、適切。未成年者控除とは、相続人が未成年者のとき、相続税額から一定金額を差し引くことですが、相続財産取得時に、日本国内に住所があり、20歳未満の法定相続人であることが必要です。
甥Gさんは、Aさんから相続・遺贈で財産を取得しているものの、法定相続人ではないため、未成年者控除の対象外です。
よって正解は、1
関連・類似の過去問
この問題と似ている問題を検索してみよう!「検索」ボタンをクリック!
FP対策講座
<FP対策通信講座>
●LECのFP講座(キーワード検索欄で「1級」と検索) ⇒ FP(ファイナンシャル・プランナー)サイトはこちら
●1級FP技能士(学科試験対策)のWEB講座 ⇒ 1級FP技能士資格対策講座(資格対策ドットコム)
●通勤中に音声学習するなら ⇒ FP 通勤講座
●社労士・宅建・中小企業診断士等も受けるなら ⇒ 月額定額サービス【ウケホーダイ】