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2019年10月12日実技part1

2019年10月12日実技part1

part1 問題文

●設 例●
個人で不動産賃貸業を営んでいるAさん(73歳)は、K市内の自宅で妻Bさん(70歳)との2人暮らしである。Aさんの年間の家賃収入は3,000万円を超えている。妻Bさんは高校卒業後、建設会社に2年間勤務したのちにAさんと結婚しており、現在の収入は公的年金のみである。

【Aさんの資産状況】
Aさんは、結婚後30年以上かけて、家賃収入で得た現金の一部を妻Bさんの通帳等に移行(贈与契約書を作成していない・贈与を受けた認識がない)して、妻Bさんに夫婦の資産運用を任せている。妻Bさん名義の預金および有価証券は合計7,000万円程度ある。そのほかに、長女Cさん(42歳)名義・二女Dさん(39歳)名義の預金(通帳と印鑑はAさんが保管・贈与を受けた認識がない)が各3,000万円程度ある。それらは、娘達に何かあったときに渡そうと思っていたが、渡しそびれて現在に至っている。
賃貸マンションおよび賃貸アパートの入居状況は良好で問題ないが、Aさんは不動産賃貸業の承継について、具体的に考えていない。

【二世帯住宅の検討】
専業主婦の長女Cさんは、公務員の夫(45歳)・2人の子と官舎に住んでいる。Aさん夫妻は、現在の自宅を二世帯住宅に建て替えて、長女家族と同居することを検討している。Aさん夫妻が長女Cさんに相談したところ、長女Cさんから「将来のことを考えた場合、お父さんとお母さんのそばで暮らしたほうがよいと思っていた。建築資金の一部を私も負担するわ」と賛成してくれた。Aさん夫妻は、二世帯住宅の建築資金の全額(6,000万円)を負担するつもりでいるが、長女Cさんの申出はうれしく思っている。
会社員の二女Dさんは、商社勤務の夫(43歳)・2人の子と東京都内の持家(マンション)で暮らしている。二女Dさんは、K市に戻る予定はなく、二世帯住宅での両親と長女家族との同居に賛成している。

【Aさん(名義)の所有財産の概要】(相続税評価額、土地は小規模宅地等の評価減適用前)
1.現預金 : 2,000万円
2.自宅
 (1)土地(280u) : 8,000万円
 (2)建物 : 2,000万円
3.賃貸マンション
 (1)土地(400u) :1億3,000万円
 (2)建物(25戸) : 6,000万円
4.賃貸アパート
 (1)土地(200u): 6,000万円
 (2)建物(6戸) : 500万円

合計 :3億7,500万円

※Aさんの相続に係る相続税の総額(3億7,500万円に基づいて計算)は、約8,500万円(配偶者の税額軽減および小規模宅地等の評価減適用前)と見積もられている。

【親族関係図】

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part1 ポイント解説

1. 納税資金の不足、相続税・所得税の軽減対策

(1)生命保険の活用(法人契約だとより軽減効果有り)
(2)小規模宅地の特例の活用
(3)直系尊属からの住宅取得等資金贈与の非課税制度の活用
(4)法人の設立と法人への不動産の賃貸

2. 遺産分割対策・事業承継対策

(1) 遺言の作成
(2) 相続時精算課税制度の活用
(3) 孫への教育資金贈与の非課税措置の検討

3. 二世帯住宅の建築と資金負担

将来的な相続を考慮した場合、小規模宅地の特例は、二世帯住宅については内部が独立していても適用可能であり、また単独所有の建物(子の単独所有も含む)の場合やそれぞれの持分を共有登記した場合には、敷地全てに適用される。ただし、それぞれの居住部分を区分建物所有登記し、親子が別生計の場合には、敷地全てについて特例が適用されない
本問の場合、長女Cさんが建築資金を一部負担したい旨を申し出ており、申し出を受けるならば、建物の名義については出資比率に応じた共有名義にしておくことが必要と思われる(親世帯・子世帯の両方が出資して二世帯住宅を建築した場合、いずれかの単独登記とすると贈与税の課税対象となるため)。

また、直系尊属からの住宅取得等資金贈与の非課税制度の活用により、Aさんが建築資金を支援することで、一定額まで贈与税を非課税にして長女Cさん夫妻の負担を軽減することも可能。

4. 所得税・事業承継対策としての法人化

◆ メリット
 ・ 社会的信用の向上(法人会計による適正な財務管理)
 ・ 法人税の比例税率による所得税負担の軽減
 ・ 親族を役員にすることによる所得分散効果
 ・ 役員退職時の役員退職金の損金算入 等

◆ デメリット
 ・ 法人会計による決算業務等の事務負担の増加 等
⇒不動産管理会社設立による所得税負担の軽減は、個人所得が900万円程度以上ないと十分なメリットを享受できないが、Aさんの賃貸収入は多額であり、税負担のメリットを享受できると思われる。

本問の場合、賃貸不動産は複数あり、その賃貸収入も多額であることから、早い段階での不動産保有方式(土地は個人所有のまま、管理会社に建物を売却し、管理会社が個人に地代を支払う方法)による不動産管理会社の設立が望ましい。 また、法人設立による所得移転・資産分散効果を最大限に活かすため、出資者・役員は推定被相続人となる親ではなく子を中心とすることが望ましい。

5.妻と長女・二女の名義預金の取り扱い

家族名義の預金は、贈与契約書を作成しておらず、預金名義人に贈与を受けた認識がない場合、贈与者の相続発生の際に相続財産とみなされ、相続税負担が発生する可能性がある。

妻Bさんの名義預金については、今後二世帯住宅の建築予定があることから、贈与税の配偶者控除の活用に贈与税負担を軽減可能と思われる。また、残額についても今後贈与契約書を作成し、暦年贈与の非課税枠を活用しながら名義預金を適切に贈与財産としていくことを提案する。

長女Cさん・二女Dさんの名義預金については、直系尊属からの住宅取得等資金贈与の非課税制度や孫への教育資金贈与の非課税措置、相続時精算課税の活用により、相続税・贈与税負担を軽減可能と思われる。

●FPと職業倫理

FPの職業倫理は、顧客利益の優先、守秘義務、説明義務(アカウンタビリティ)、法令の遵守(コンプライアンスの徹底)、顧客の説明・同意(インフォームド・コンセント)、能力の啓発の6つ。
本問では、FPと顧客の利益相反や顧客の秘密漏洩を懸念する局面ではなく、金融商品取引法等における重要事項の説明義務に関わる段階でもなさそうですので、一番重要なのは、様々な相続税の軽減対策・事業承継対策の方法やそれを適用した結果をきちんと説明し顧客の理解度を確認する「インフォームド・コンセント」ということになるかと思います。

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