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2020年2月15日実技part2

2020年2月15日実技part2

part2 問題文

●設 例●
Aさん(80歳)は、大都市圏に所在するK市内の自宅で妻Bさん(77歳)と2人で暮らし ている。Aさん夫妻に子はいない。Aさんは、意思能力はしっかりしているものの、最近、 足腰が弱ってきた。妻Bさんは、今のところ日常生活に支障はないが、数年後に認知症を発 症する可能性がある旨を医師から告げられている。Aさん夫妻は、公的年金と自宅の最寄駅 近くに所有する賃貸マンションの収入で暮らしている。

【Aさんの資産および収入の状況】
・預貯金5,000万円、年金収入年間300万円、賃料収入年間1,000万円(手取り)
・自宅(敷地200u、相続税評価額:土地4,000万円、建物500万円)
・賃貸マンション(1Kタイプ計20戸、相続税評価額:土地5,500万円、建物1億円)

【賃貸マンション(甲土地)の取得経緯と現状】
Aさんは、20年前に甲土地で祖父の代から続いた酒の卸問屋を廃業して、マンション開発 業者X社との等価交換により賃貸マンション(20戸)と交換差金を取得した。X社は取得し たマンション(50戸)を分譲し、現在は全体で70戸の区分所有建物として、管理組合が結成 されている。賃貸マンションの賃貸管理はX社に委託している。マンション全体の管理は、 管理組合からY社に委託している。
賃貸マンションは立地がよく、X社の管理も行き届いていることから満室稼働が続いてい るが、X社からは入退去に伴う原状回復や敷金の入出金の報告と承認/今後の修繕工事や設 備の更新等に関する報告と承認、Y社からはマンション管理に関する報告や相談があり、い ずれからも決断や承認を求められる事項が多い。

【今後の賃貸マンションの管理について】
Aさんは、自身の死後も、賃貸マンションの賃料収入を妻Bさんの生計の資金としたいと 望んでいる。しかし、Aさん自身の年齢や健康状態、妻Bさんが数年後に認知症となった場 合を考えると、今のような管理を続けることはできない。Aさんは、賃貸マンションの管理 を亡兄の一人息子である甥Cさん(61歳)に委託し、妻Bさんの死後は甥Cさんに承継させ ようと考えている。
甥Cさんは、Aさんの自宅近くに居住しており、義理人情に厚い、実直な人物である。K 市役所を定年退職後、現在は同市内の社会福祉協議会に勤務している。妻Bさんの姉側の家 族は県外に住んでおり、妻Bさんの面倒を頼むことはできない。甥Cさんは「叔父さんと叔 母さんの面倒は最後まで見させてもらうよ」と言ってくれており、妻Bさんも甥Cさん家族 の世話になることを望んでいる。
Aさんは、先日、取引先の金融機関の担当者から「賃貸マンションを承継させる方法とし て、不動産事業を法人化する方法のほか、民事信託(家族信託)という方法もあります」と 紹介された。Aさんは、その内容を理解したいと思っている。

(FPへの質問事項)
1.Aさんに対して、最適なアドバイスをするためには、示された情報のほかに、どのよ うな情報が必要ですか。以下の(1)および(2)に整理して説明してください。
(1)Aさんから直接聞いて確認する情報
(2)FPであるあなた自身が調べて確認する情報
2.本件の場合、不動産事業の法人化を採用するメリットはありますか。
3.甥Cさんに賃貸マンションを管理・承継する方策として、民事信託(家族信託)を活 用する場合、どのようなスキームになりますか。また、そのほかの方法・制度等を考 えることはできますか。
4.本事案に関与する専門職業家にはどのような方々がいますか。

【賃貸マンションの概要】


【親族関係図】

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part2 ポイント解説

1. アドバイスに当たって必要な情報

(1) Aさんから具体的に確認したいこと
Aさんは妻Bさんの死後、賃貸マンションを甥Cさんに承継させようとしているが、妻Bさんに相続が発生した場合、Bさん姉が法定相続人となるため、遺留分を主張するといった相続トラブルの発生の懸念が無いか、確認が必要。
また、甥Cさんは社会福祉協議会に勤務中であり、勤務形態によっては不動産管理の委託を受けることが勤務先の兼業禁止規定に抵触しかねない恐れもあるため、確認することが必要。

(2) FP自身が調べて確認する情報
顧客が関知していない状況や、忘れている事項がある可能性もあるため、物件の登記簿と、現地の確認を行うことで、所有権・抵当権等の権利状況や土地の物理的状況を、実際に確認することが必要。
特に、賃貸マンションの権利状況や管理状況については妻Bさんの生活の安定や甥Cさんへの承継に直結するため、賃貸管理やマンション管理の現状について、X社やY社の取り組みの確認が必要。

2.不動産事業の法人化によるメリットの有無

法人化によるメリットは、社会的信用の向上(法人会計による適正な財務管理)・ 法人税の比例税率による所得税負担の軽減・ 親族を役員にすることによる所得分散効果・ 役員退職時の役員退職金の損金算入 等があるが、法人会計による決算業務等の事務負担の増加 等のデメリットもある。
法人設立による所得税負担の軽減は、個人所得が900万円程度以上ないと十分なメリットを享受できないが、Aさんの所得は賃料収入1,000万円と年金収入300万円で、税負担の軽減は多少あるものの、事務負担が増加は高齢のAさん夫妻や面倒を見る甥Cさんにはデメリットが大きいと思われる。

資産承継面でも、甥Cさんも含め親族を役員とした不動産管理会社を設立しても、Aさんの死後、認知症を発症しているかもしれない妻Bさんも含めた総会決議等の事務手続きは負担は大きく、甥Cさんへのスムーズな資産承継につながりにくいと思われる。

3. 賃貸マンションの管理・承継方策としての民事信託(家族信託)の活用スキームと他の方法・制度の活用

信託銀行等が、営利目的で信託報酬を得て行うものが商事信託であり、信託業免許が必要なのに対し、民事信託は営利目的でなければ、信託業免許のない法人や個人も受託者となることが可能である。
家族信託は、家族の財産を所有者の意向に沿って、受託者である家族や親族が管理・処分する信託契約で、民事信託の1種である。
また、通常の遺言では二次相続以降の承継人を指定できないが、民事信託では受益権の承継人が死亡しても、次の受益権の承継人を指定可能であるため、遺言や成年後見制度と組み合わせることで、自身の生存中から死亡後まで信託契約上で柔軟な設定が可能である。
本問の場合、Aさんが家族信託により、甥Cさんを受託者として賃貸マンションの管理・処分する信託契約を締結し、受益権の承継人をAさん→妻Bさん→甥Cさんと定することで、生存中のマンション管理の委託と死亡後の資産承継が可能となる。

家族信託以外の資産承継の方法・制度としては、遺言や成年後見制度がある。遺言の場合、相続発生時に確実に指定した相続人に資産承継が可能であるが、二次相続時の指定ができず、二次相続時の被相続人が認知症等により判断能力が無い場合には、生存中の資産管理や死亡後のスムーズな資産承継に至らない可能性がある。
成年後見制度の場合、後見人等により本人の財産の維持・管理をしてもらうことが可能だが、家族であっても自由に財産を利用できなくなるため、柔軟な対応が難しくなるデメリットがある。
そのため、後見制度支援信託など、後見制度の対象とする財産を限定する制度の活用も検討すべきである。

4. 関与すべき専門職業家

成年後見制度を利用する場合の後見人の選定や家族信託については、司法書士や弁護士、測量結果に基づく適正な不動産価格・地代、賃料の算定は、不動産鑑定士、賃貸マンションの媒介や契約代理等の宅地建物取引業法に規定する業務に該当するものについては、不動産業者(本問ではX社)です。また、管理組合の会計や共有部分の維持・修繕といった賃貸マンションの管理業務については、国土交通省に登録済みのマンション管理業者が適切です。

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