問15 2021年1月基礎
問15 問題文
会社役員賠償責任保険(以下、「D&O保険」という)の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、契約者は株式会社であるものとし、特約は付帯していないものとする。
1) D&O保険の被保険者となる役員には、保険期間中に退任した役員や新たに選任された役員も含まれる。
2) D&O保険の対象となる法律上の損害賠償金は、被保険者に提起された株主または会社からの訴訟に起因するものとされ、それ以外の訴訟に起因するものは含まれない。
3) D&O保険では、被保険者がインサイダー取引を行ったことに起因する損害賠償請求による損害は補償の対象とならない。
4) D&O保険の補償の対象となる損害には、被保険者が所定の争訟費用を負担することによって生じる損害が含まれる。
問15 解答・解説
損害保険による事業活動のリスク管理に関する問題です。
1) は、適切。会社役員賠償責任保険(D&O保険)の被保険者は、会社法上の取締役・監査役・執行役といった会社のすべての役員であり、保険期間中に退任した役員や新たに選任された役員も含まれます。
2) は、不適切。会社役員賠償責任保険(D&O保険)は、会社役員が業務として行った行為で、他者への損害賠償責任が発生した場合、賠償金や争訟費用(訴訟費用や弁護士報酬等)といった損害額を補償する保険です。通常、他者への損害賠償を備える基本補償(普通保険約款)部分については会社が負担しますが、株主代表訴訟や自社による役員の提訴といった自社への損害賠償に備える株主代表訴訟担保特約部分については被保険者である役員自身が負担します。
よって、補償対象は株主や自社からの提訴による損害賠償に限らず、他の事業要因による他者への損害賠償も含まれます。
3) は、適切。会社役員賠償責任保険(D&O保険)では、被保険者の私的な利益・便宜供与・犯罪行為・インサイダー取引等に対する損害賠償は、補償対象外です。
4) は、適切。会社役員賠償責任保険(D&O保険)の補償対象は、判決に基づく損害賠償金や和解金といった法律上の損害賠償金や訴訟・争訟費用です。
よって正解は、2
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