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2021年2月7日実技part1

2021年2月7日実技part1

part1 問題文

●設 例●
Aさん(75歳)は、三大都市圏T市内に所在する先祖代々の土地で不動産賃貸業(個人)を営んでいる。Aさんは、T市内の自宅で妻Bさん(享年72)と2人で暮らしていたが、昨年12月に妻Bさんは病気により急逝した。Aさんは、四十九日の法要が終わり、そろそろ妻Bさんの相続手続等に着手しようと思っている。

【妻Bさんの資産状況】
Aさんは、30年以上にわたり、家賃収入で得た現金の一部を妻Bさんの通帳等に移行(贈与契約書を作成していない・贈与の認識がない)して、妻Bさんに資産運用を任せていた。妻Bさん名義の預金および有価証券は合計1億円程度ある(そのほかに、妻Bさんの固有財産はない)。

【不動産賃貸業の法人化】
Aさんの年間の不動産収入は約4,000万円(不動産所得の金額2,700万円)、所得税・住民税の額は約1,000万円である。Aさんは、減価償却費が少なくなり、税金の負担が大きいと感じている。なお、賃貸マンションの建設費用は、自己資金と金融機関からの借入金を充てたが、昨年、借入金は完済している。
Aさんは、これまで賃貸マンションの入居状況が良好で、不動産賃貸業の承継について、具体的に考えてこなかったが、妻Bさんを亡くしたことで、娘2人にどのように承継すべきか、真剣に考えるようになった。先日、金融機関の担当者から「法人を設立して、所得の分散を図ってはどうですか。その際には、ご融資を検討させていただきます」と提案を受けたところである。

【Aさん自身の資産承継】
Aさんが所有する自宅・賃貸マンションの敷地は、先祖代々の土地である。これらの土地は、2人の娘に相続させ、守ってもらいたいと思っている。長女Cさん(46歳)はT市役所に勤務する夫の官舎に住んでおり、二女Dさん(43歳)はT市内にある会社員の夫名義の持家に住んでいる。2人とも専業主婦であり、両家族の生活基盤は安定している。
Aさんは、2人の娘が遺産分割で揉めることはないと思っているが、自筆証書遺言の保管制度があると聞き、念のために遺言書の作成を検討している。また、4人の孫(16歳・13歳・12歳・10歳)に贈与税の基礎控除額を超えない程度の現金を毎年贈与したいと考えている。

【Aさんの所有財産の概要】(相続税評価額、土地は小規模宅地等の評価減適用前)
1.現預金等 : 1億円(妻Bさん名義の預金等は考慮していない)
2.自宅
 (1)土地(300u):8,000万円
 (2)建物 : 2,000万円
3.賃貸マンション甲
 (1)土地(600u):1億5,000万円
 (2)建物 : 9,000万円
4.賃貸マンション乙
 (1)土地(300u):7,500万円
 (2)建物 : 5,000万円

合計 :5億6,500万円

※Aさんの相続に係る相続税の総額は、約1億8,000万円(小規模宅地等の評価減適用前)と見積もられている。

【親族関係図】

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part1 ポイント解説

1. 納税資金の不足・相続税の軽減対策

(1)生命保険の活用(法人契約だとより軽減効果有り)
(2)小規模宅地の特例の活用
(3)直系尊属からの住宅取得等資金贈与の非課税制度の活用
(4)法人の設立と法人への不動産の賃貸

2. 遺産分割対策・資産承継対策

(1) 遺言の作成
(2) 相続時精算課税制度の活用
(3) 孫への教育資金贈与の非課税措置の検討

3. 名義預金の定義と取り扱い

形式的には配偶者や親族名義の預金であるものの、収入等の実態を考慮すると実質的に「真の所有者」が別途存在すると判断される場合には、名義預金として扱われ、贈与されたものでないと判断されると「真の所有者」に相続が発生した際に、相続税の課税対象となる。
本問の場合、Aさんは家賃収入の一部を妻名義の預金に移行していることから、名義預金としてAさん死亡時にはAさんの相続財産として課税される可能性が高い。
また、贈与とは、贈与する側が自分の財産を贈与される側に無償で与える意思を表示し、贈与される側がそれを受諾することで効力が生ずる諾成契約であり、贈与される側が自身で財産管理、運用・使用していることが必要である。
本問の場合、妻は移行された預金で資産運用しているものの、贈与契約書もなくAさんに贈与の認識もないことから、贈与されたものでないと税務上判断されれば、妻Bさんの相続財産としては課税されない可能性がある。

4. 不動産賃貸業の法人化

Aさんが現在多額の賃貸収入を得ており、また不動産の評価額も多額であるため、所得税・相続税の負担が大きいと考えられる。よって、法人の設立による税負担の軽減対策を提案する。

(1)長女または二女を代表取締役とした法人の設立
法人設立による所得移転・資産分散効果を最大限に活かすため、出資者・役員は推定被相続人となる親ではなく子を中心とすることが望ましい。
建物の所有権の移転手続きや不動産取得税等の移転コストがかかるが、全ての家賃収入が法人に入るため、所得移転効果が高い。また、法人税の比例税率と所得分散による所得税・相続税低減効果有り。

(2)法人への不動産の譲渡
設立した法人に対し、賃貸建物のみを簿価で譲渡することで、譲渡損益を発生させずに不動産を個人から法人に移転させることが可能。
買い取り資金がない法人であっても、利息無しの長期分割払いとすることで対応可能となる。もしくは、金融機関からの融資も期待できる。

(3)土地の無償返還に関する届出書の提出
法人側での借地権の認定課税を避けるため、土地の無償返還に関する届出書を提出するか、相当の地代を支払うこととする。

5.相続人間の平等な相続方法

Aさんには多額の現預金があることから、単純に2人の娘にそれぞれ不動産を相続させ、差額を現預金で調整することで、ほぼ姉妹間で差のない相続が可能と思われる。また、仮に不動産の承継者をいずれか1人に限定し、もう1人は現預金中心とする場合でも、法人化や家賃収入を原資とした代償分割等により、やはり姉妹間で差のない相続が可能と思われる。

6.自筆証書遺言の保管制度と孫への暦年贈与

●自筆証書遺言の保管制度
自筆証書遺言の財産目録についてはパソコン作成や通帳のコピー添付も可能(遺言本文は手書き)であり、法務局に保管した自筆証書遺言は、公正証書遺言と同様に検認不要である。ただし、遺言書の保管申請は、遺言書を保管する法務局に遺言者本人が出頭することが必要であり、遺言者本人以外の者が代理申請することはできない。

●孫への暦年贈与
一定期間にわたって定期・定額の贈与を受け取る定期金給付金契約に基づく場合、毎年の贈与額が贈与税の基礎控除以下であっても、連年贈与(有期定期金の贈与)として、贈与金額の総額に対して、初年度の贈与税の課税対象となる。
連年贈与認定を避けるためには、贈与の都度贈与契約書を作成する等の対策が必要となるため、金融機関が提供している暦年贈与信託を活用し、贈与記録の管理や贈与手続きのサポートを受けることを提案する。

●FPと職業倫理

FPの職業倫理は、顧客利益の優先、守秘義務、説明義務(アカウンタビリティ)、法令の遵守(コンプライアンスの徹底)、顧客の説明・同意(インフォームド・コンセント)、能力の啓発の6つ。
本問では、FPと顧客の利益相反や顧客の秘密漏洩を懸念する局面ではなく、金融商品取引法等における重要事項の説明義務に関わる段階でもなさそうですので、一番重要なのは、様々な相続税の軽減対策・資産承継対策の方法やそれを適用した結果をきちんと説明し、顧客の理解度を確認する「インフォームド・コンセント」ということになるかと思います。

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