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2021年2月13日実技part2

2021年2月13日実技part2

part2 問題文

●設 例●
Aさん(68歳)は、三大都市圏S市に所在する甲土地(地積:1,800u)を所有している。甲土地は、15年前に他界した父親の相続により取得した土地であり、近隣商業地域と第一種低層住居専用地域にまたがっている。甲土地は、最寄駅から徒歩10分程度に位置し、周辺は店舗・事務所・戸建て住宅・マンションが混在し、相応の繁華性がある地域である。
甲土地は、父親の代からアスファルト敷きの月極駐車場として賃貸しているが、収益性は高くなく、駐車場の稼働率は年々下がっている。Aさんは、妻Bさん(67歳)と相談のうえで、ほかの有効活用ができないか、親しくしている地元の不動産会社のD社長に相談したところ、ドラッグストアを展開するX社(東証一部上場)からS市内で駐車場が確保できる場所に出店したいと頼まれているとのことであった。後日、D社長は下記の提案を持ってきた。

【X社の提案内容】
・店舗は軽量鉄骨造平屋で延床面積500u、建設費は7,000万円、建物の固定資産税・都市計画税は年間70万円を見込んでいる。建設資金は、建設協力金方式により全額X社が負担する。
・賃借期間は20年間の普通借家契約
・敷金700万円、建設協力金7,000万円、年間賃料1,400万円(建設協力金の年間均等返済350万円を含む)
・営業開始後5年間は解約しないが、その後は1年前の解約予告で退去可能

Aさんは、先祖代々の土地である甲土地を手放すことを考えておらず、将来は地元企業に勤務する一人息子の長男Cさんに承継する予定である。Aさんは、老後の生活資金や相続税の納税資金の確保のために、預貯金を増やしたいと考えている。

(FPへの質問事項)
1.Aさんに対して、最適なアドバイスをするためには、示された情報のほかに、どのような情報が必要ですか。以下の(1)および(2)に整理して説明してください。
(1)Aさんから直接聞いて確認する情報
(2)FPであるあなた自身が調べて確認する情報
2.甲土地の敷地全体を利用して、ドラッグストアの店舗を建築することはできますか。
3.建設協力金方式の特徴、メリット・デメリットについて教えてください。契約内容についてどのようなことを確認し、Aさんにアドバイスしますか。
4.ドラッグストアの店舗の建築後、Aさんの相続が開始した場合、甲土地の相続税評価額はどのようになりますか。
5.本事案に関与する専門職業家にはどのような方々がいますか。

【甲土地の概要】

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part2 ポイント解説

1. アドバイスに当たって必要な情報

(1) Aさんから直接聞いて確認する情報
甲土地は相続で取得しているが、相続により財産を取得した場合、その取得日・取得費を引き継ぐことから、当時の状況の詳細が分かる資料があるかという確認が必要。
また、Aさん夫妻は1人息子の長男に甲土地を承継する意向であるが、将来的な本人の意向についてもある程度確認しておきたい。

(2) FP自身が調べて確認する情報
顧客が関知していない状況や、忘れている事項がある可能性もあるため、物件の登記簿と、現地の確認を行うことで、所有権・抵当権等の権利状況や土地・建物の物理的状況を、実際に確認することが必要。
また、用途地域・地方自治体の都市計画等を確認し、今後の開発予定・環境変化を把握することが必要である。
本問の場合、X社がドラッグストアの展開を検討している地域であるということは、同業他社も同様の考えである可能性があり、将来近隣にライバル店舗が出店されればX社の撤退もあり得ることから、不動産会社を通じた情報収集も必要である。

2. 甲土地の敷地全体を利用したドラッグストアの店舗建築の可否

建築物の敷地が異なる用途地域にわたる場合、その敷地全体に対して、過半の属する用途地域の用途制限が適用されるため、甲土地には、第一種低層住居専用地域の用途制限が適用される。
第一種低層住居専用地域では店舗建築はできないことから、甲土地全体を利用した店舗建築はできず、県道に面した近隣商業地域部分(720u)のうち、500uを平屋建ての店舗とし、その裏側に店舗の来客用の駐車場を設置することが必要となる。

3. 建設協力金方式の特徴、メリット・デメリット、契約内容の確認事項とアドバイス

◆建設協力金方式の特徴
建物は土地所有者が建設し、その建物に入居予定のテナント等から貸与された保証金や建設協力金を、建設資金の全部または一部に充当して建物を建設する事業方式(建設協力金方式)。
建設協力金方式の場合、建物は土地所有者が建設・所有することから、土地は貸家建付地、建物は貸家、建設協力金・保証金は債務となるため、相続税負担の軽減が期待できる。
ただし、建設協力金・保証金の返済と所得税・住民税負担により、キャッシュフローがマイナスになる場合もあるため、事前の詳細な検討が必要。

◆契約における確認・助言事項
建設協力金方式では、建設協力金としてテナント側から受け取った建設資金が、入居後は保証金となり、テナント側に毎月の賃貸収入から返済していくことが必要となる。従って、契約期間途中でテナント側が倒産や中途解約した場合、予定していた賃貸収入の消滅や転用しづらい仕様の建物が残るといったデメリットに加え、残された建物と保証金の処理が複雑になるデメリットがある。
通常、建設協力金方式の契約では、中途解約の場合にテナント側は建設協力金の返済の権利を放棄し、オーナー側は解約後の建設協力金返還が不要となる条項を入れてあるはずであるが、今回の契約でも同様の条項が盛り込まれているか、確認が必要。
また、借地借家法では、借主に不利な特約は、無効とされているため、「家賃を減額しない」という特約があった場合でも、普通借家契約の場合はテナント側からの減額請求が可能となる。
定期借家契約の場合は、建物の賃料の増減に関する特約は、借主に有利・不利に関わらず、有効となるため、テナント側には定期借家契約とし、契約期間中の家賃を減額しない旨の特約を入れることを交渉すべきである。

4. 関与すべき専門職業家

建設協力金方式の利用における、測量結果に基づく適正な不動産価格・地代、賃料の算定は、不動産鑑定士が適当。
また、甲土地の相続税評価額や不動産収入に関する課税上の取扱いに関する具体的な税務相談については税理士建設協力金方式採用時の建物の所有権保存登記については司法書士が適当。

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