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2021年2月14日実技part1

2021年2月14日実技part1

part1 問題文

●設 例●
Aさん(65歳)は、株式会社X社(非上場会社・家具製造業)の代表取締役社長である。昨年11月、X社の専務取締役であった妻Bさん(享年65)が病気により急逝した。X社は、Aさん夫妻が立ち上げた会社で、二人三脚で大きくしてきた。X社では、Aさんがオフィス部門・妻Bさんが住宅部門を統括してきた。

【X社の事業承継】
X社は、Aさんの実家のあった土地に自社ビル兼工房があり、AさんがX社株式の100%を所有している。Aさんは、妻Bさんの急逝により、事業承継について真剣に考えるようになった。X社では、後継者候補が2人いる。
二女Dさん(32歳)は、大手家具メーカー勤務後、X社に入社し、住宅部門の課長職にある。母親の意思を受け継ぎたいと仕事に打ち込んでいる。
Eさん(43歳)は、妻Bさんの従弟(いとこ)で、大学卒業後、20年前のX社設立時に入社し、現在はオフィス部門の責任者(部長)を務めている。Eさんは、早くに両親を亡くし、Aさん夫妻が面倒を見てきた子も同然の存在である。取引先・従業員からの信頼は厚く、非常に有能であるが、二女Dさんの手前、X社の承継について明言を避けている。二女Dさんは、Eさんを尊敬しており、折を見て、Eさんに仕事上のアドバイスをもらっている。
長女Cさん(37歳)は、大手商社に勤務する夫と子の3人で持家に居住し、実家のことに関心が薄い。Aさんは、長女CさんはX社の事業承継とは関係がないと思っている。
Aさんは、EさんにX社の経営を担わせ、これまでの貢献に報いるためにもX社株式の一部(10〜20%)を贈与したいと思っている。他方、実子である二女Dさんに承継すべきなのではないかとも考えており、最終的な株主構成を描くことができずにいる。

【Aさん自身の資産承継】
妻Bさんは遺言書を準備していなかった。Aさんが死亡退職金5,000万円を受け取り、妻Bさんの預貯金4,000万円は、長女Cさんと二女Dさんが均等に取得することとし、円満に遺産分割協議書を作成することができた。
Aさんは、先日、金融機関の担当者から自筆証書遺言の保管制度の話を聞き、遺言書の作成を検討するようになった。また、その担当者から相続対策として、自宅隣地に所有する月極駐車場に賃貸アパートを建築することを勧められている。

【Aさんの所有財産の概要】(相続税評価額、土地は小規模宅地等の評価減適用前)
現預金   :1億5,000万円(妻Bさんの死亡退職金を含む)
X社株式  : 6億円
自宅土地  : 8,000万円(300u)
自宅建物  : 2,000万円
X社本社兼工房土地 :1億1,000万円(600u、無償返還方式・通常の地代にて賃貸)
月極駐車場 : 5,000万円(200u)

合計 :10億1,000万円
※Aさんの相続に係る相続税額は、約4億円(小規模宅地等の評価減適用前)と見積もられている。

【X社の概要】
資本金 :5,000万円
会社規模:大会社
従業員数:72人
配当  :実施なし
売上高 :14億円
経常利益:6,000万円
純資産 :6億円
株主構成(発行済株式総数10万株):Aさん100%
株式の相続税評価額:類似業種比準価額6,000円/株、純資産価額10,000円/株
※X社株式は譲渡制限株式である。

【親族関係図】

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part1 ポイント解説

1. 納税資金の不足・相続税の軽減対策

(1) 生命保険・金庫株の活用
(2) 役員退職金支払い(法人税の低減、退職所得控除による所得税低減効果も有り)
(3) 自社株式評価の引き下げ(配当・利益・純資産の引下げ)
(4) 小規模宅地の特例の活用
(5) 非上場株式の相続税・贈与税の納税猶予・免除制度の活用

2. 遺産分割対策・資産承継対策

(1) 遺言の作成
(2) 遺留分に関する民法の特例の活用
(3) 相続時精算課税制度の活用
(4) 孫への教育資金贈与の非課税措置の検討
(5) 金庫株を用いた長女への代償分割

3. 事業承継税制の特例の活用

X社株式については、非上場株式の相続税・贈与税の納税猶予・免除制度の活用により、全株式を税負担なく移転可能(納税猶予割合100%)

また、親族外を含む複数の株主から、代表者である後継者(最大3人)への承継も適用対象になったため、本問のように、先代経営者から、後継者である子や妻の従弟(いずれも代表権を有し、議決権割合の10%以上かつ上位3位までの同族関係者)に贈与する場合も適用可能となっている。

なお、非上場株式の相続税の納税猶予・免除を受ける後継者は、相続開始日の翌日から5ヶ月経過時点で会社の代表権を有し、相続開始時に後継者と同族関係者等で総議決権数の50%超であることが必要である。

よって本問の場合、後継者候補である二女・妻の従弟いずれも代表権を有していないと思われるため、事業承継の一環として代表権と株式を付与していくことが必要です。

4.Eのこれまでの貢献を考慮した株主構成

株式の後継者以外への承継は、将来の株式散逸のリスクが高まるが、本問のように後継者以外の親族・従業員でも、経営陣の一員として株式を承継することは、先代経営者の引退後の経営体制を強化するメリットもある。
ただし、後継者以外にも株式を承継する場合には、後継者が承継する株式数の議決権割合を、株主総会の特別決議事項であっても単独で成立可能となる67%(3分の2)以上とし、会社の支配権を確立しておくことが必要。

また、突然の相続発生による株式散逸のリスクに備えるため、該当株式分を金庫株として自社で買い取り可能な余裕資金を用意しておくことも必要である。

本問の場合、実子が承継することが望ましいと思われるが、当面の間はEに経営を担わせた上で、実子が代表となるプランもありうると思われる。ただし、実子の承継時期が曖昧であるとトラブルの元であるため、事業承継対策を進める中で、後継者候補2人を交えて今後のスケジュールを決定していくことを提案する。

5. 自筆証書遺言の保管制度と相続対策としての賃貸アパート建築

●自筆証書遺言の保管制度
自筆証書遺言の財産目録についてはパソコン作成や通帳のコピー添付も可能(遺言本文は手書き)であり、法務局に保管した自筆証書遺言は、公正証書遺言と同様に検認不要である。ただし、遺言書の保管申請は、遺言書を保管する法務局に遺言者本人が出頭することが必要であり、遺言者本人以外の者が代理申請することはできない。

●相続対策としての賃貸アパート建築
月極駐車場を青空駐車場として貸していると自用地評価額となり、車庫等の構築物を設けていると自用地評価額から土地の賃借権価額を控除した評価額となる。
これに対し、自分が所有する土地に建築した家屋を、他に貸し付けている場合、建物は貸家、土地は貸家建付地として評価され、自用地評価よりも借地権や借家権の割合分が減額された相続税評価額となる(自分の土地にアパートを建てて賃貸している等)。このため、駐車場のままであるよりは、賃貸アパートを建築した方が相続税評価額は低くなる可能性が高く、相続税負担も軽減すると思われる。
ただし、月極駐車場の評価額はAさんの所有財産全体の5%程度であり、貸家建付地となったことによる相続税の軽減額は軽微なものであることから、Aさんが積極的に望まないのであれば賃貸アパート経営を実施する必要性は薄いことをアドバイスする。

●FPと職業倫理

FPの職業倫理は、顧客利益の優先、守秘義務、説明義務(アカウンタビリティ)、法令の遵守(コンプライアンスの徹底)、顧客の説明・同意(インフォームド・コンセント)、能力の啓発の6つ。
本問では、FPと顧客の利益相反や顧客の秘密漏洩を懸念する局面ではなく、金融商品取引法等における重要事項の説明義務に関わる段階でもなさそうですので、一番重要なのは、様々な相続税の軽減対策・事業承継対策の方法やそれを適用した結果をきちんと説明し顧客の理解度を確認する「インフォームド・コンセント」ということになるかと思います。

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