問44 2021年5月基礎
問44 問題文
任意後見制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1) 任意後見契約において、複数の者や法人が任意後見受任者となることも可能である。
2) 任意後見契約は、その締結後、公証人の嘱託によって登記され、後見登記等ファイルに所定の事項が記録される。
3) 任意後見契約は、本人や任意後見受任者などの請求により、家庭裁判所で任意後見監督人が選任された時から、その効力が生じる。
4) 任意後見人は、任意後見契約に定めた事項に関する被後見人の法律行為について、代理権および取消権を有する。
問44 解答・解説
成年後見制度に関する問題です。
1) は、適切。法定後見制度や任意後見制度では、家庭裁判所が後見開始の審判を行い成年後見人を選任しますが、複数人や法人を後見人として選任することも可能(保佐人・補助人も複数可)です。
後見・保佐・補助は、財産管理だけでなく契約手続き等も行う必要があり、1人では対応しきれない場合があることから、複数人や法人の選任が認められているわけです。
2) は、適切。任意後見の場合、任意後見契約の公正証書が作成されたときに、公証人の嘱託によって登記され、法務局が管理する成年後見制度の情報システムである後見登記等ファイルに、後見人の権限等が記録されます。
3) は、適切。任意後見制度における任意後見契約では、家庭裁判所により任意後見監督人が選任されるまで、その効力は生じませんので、いつでも公証人の認証を受けた書面によって解除可能です。
家裁が監督人を決めるまで、任意後見契約は無効ということですね。
4) は、不適切。法定後見人には代理権・同意権・取消権がありますが、任意後見人には取消権が無いため、例えば本人の判断力が低下していて、任意後見よりもより強い権限(代理権・同意権・取消権による保護)を任意後見人に与える必要がある場合には、法定後見を開始することになります。
よって正解は、4
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