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2021年6月5日実技part2

2021年6月5日実技part2

part2 問題文

●設 例●
Aさん(59歳・会社員)は、首都圏M市内(既成市街地等の地域内)に所在する甲土地(地積:1,500u)と乙土地(地積:240u)を1年前の父親の相続により取得している。父親の代から、甲土地はアスファルト敷きのコインパーキングとして活用し、乙土地は借地人Bさん(56歳)に貸している。甲土地・乙土地は、M市中心部のM駅から徒歩5分に位置し、周辺一帯は商業地域に指定されており、商業施設・事務所ビル・マンション等が建ち並んでいる。
Aさんは、隣県N市内の自宅において、妻(56歳・専業主婦)と長女(25歳・高校教諭)の3人で暮らしている。Aさんは、父親の相続時に相応の税額を納付しており、預貯金の残高は1,000万円に満たない金額である。自身の相続時にも多額の相続税額が見込まれ、甲土地を駐車場のままにしておいてよいのかと不安を抱いている。

【X社の提案】
Aさんは、先日、地元のマンション開発業者X社の担当者から「甲土地・乙土地はM駅に近く、規模的にもマンション用地として適地であり、需要は相当高いと考えています。そこで、甲土地と乙土地の両方を買い取らせていただけないでしょうか。ただし、建設する予定の建物の規模が確保できるのであれば、甲土地だけの買取りも検討いたします。なお、Aさんが等価交換をご希望であれば、対応いたします」と提案を受けた。

【乙土地の借地契約の変遷と借地人Bさんとの交渉】
乙土地は、Bさんの亡父がAさんの父親から1953年に期間30年・非堅固建物所有目的で借地したものである。Bさんは、Aさんの父親との間で2013年に2回目の更新を同様の期間で行っている。Aさんが、X社から乙土地も買い取りたいとの提案を受けているとBさんに伝えたところ、以下のような返答があった。
「15年前にAさんのお父さまに建替承諾料を支払って、私が自宅を建て替えたことは知っているでしょ。生まれ育ったこの土地に住み続けたいと思っているからこそ、お父さまに協力してもらって住宅ローンを組んで、思い切って建替えをしました。Aさんに協力したい気持ちはもちろんありますが、いま転居することは考えていません」
Bさんの自宅は、軽量鉄骨造2階建て、延べ面積130uで、乙土地上の北側部分に位置している。

Aさんは、Bさんの主張は当然のことであると理解している。他方、Aさんは、甲土地をX社に売却する話は何とか前に進めたいと思っている。Bさんが乙土地(借地権)を売らない場合、Bさんに対して何か提案することはできないものか、FPであるあなたに相談することにした。

(FPへの質問事項)
1.Aさんに対して、最適なアドバイスをするためには、示された情報のほかに、どのような情報が必要ですか。以下の(1)および(2)に整理して説明してください。
 (1)Aさんから直接聞いて確認する情報
 (2)FPであるあなた自身が調べて確認する情報
2.X社が乙土地も買い取りたい理由としてどのようなことが考えられますか。
3.Bさんが乙土地(借地権)を売らないと言った場合、どのような提案が考えられますか。
4.Aさんが等価交換方式を選択した場合のメリットについて教えてください。
5.本事案に関与する専門職業家にはどのような方々がいますか。

【甲土地および乙土地の概要】

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part2 ポイント解説

1. アドバイスに当たって必要な情報

(1) Aさんから直接聞いて確認する情報
甲・乙土地は相続で取得しているが、相続により財産を取得した場合、その取得日・取得費を引き継ぐことから、当時の状況の詳細が分かる資料があるかという確認が必要。
また、乙土地の借地権の取り扱いについて、底地と借地権の交換や建設予定の区分マンションとの等価交換等、想定される処理方法についてAさん自身の意向を確認しておくことが必要。

(2) FP自身が調べて確認する情報
顧客が関知していない状況や、忘れている事項がある可能性もあるため、物件の登記簿と、現地の確認を行うことで、所有権・抵当権等の権利状況や土地・建物の物理的状況を、実際に確認することが必要。
特に、本問では甲・乙土地は父親の代から続いているものであり、売却時には相続したAさん名義にしておく必要があることから、必ず登記簿上の名義の確認が必要。
また、甲・乙土地の周辺状況や用途地域・地方自治体の都市計画等を確認し、今後の開発予定・環境変化を把握した上で、不動産業者の提案が適正な相場であるかある程度把握しておくことが必要である。

2. X社が乙土地も買い取りたい理由

甲・乙土地を一体活用することで、容積率・路線価いずれについてもより有利な乙土地の方の規制を適用できるため、建築物の自由度・評価額が高くなるため。
● 容積率…前面道路が幅員15mとなり、前面道路幅員による容積率の制限が適用されない。
● 路線価…甲単独だと270,000円/u(270C)だが、一体活用で400,000円/u(400C)となる。

なお、幅員15mの県道は特定道路だが、特定道路による容積率制限の緩和は、前面道路幅員が6m以上12m未満で、その前面道路からの距離が70m以内で幅員15m以上の道路(特定道路)に接続している場合に適用されるため、甲土地単独では前面道路4mであることから適用対象外である。

3. Bさんが乙土地(借地権)を売らないと言った場合の提案

(1)底地と借地権の交換
乙土地の底地と借地権を、相当の価値に応じて交換し、それぞれの土地の所有権とする方法。
○メリット :借地権解消後の土地を自由に有効活用可能。交換特例により譲渡所得をなかったものとすることが可能。
○デメリット:借地人は、建物の解体費用を負担する必要がある。

(2)マンション建設に伴う等価交換
デベロッパーとの等価交換事業により、マンションを建設し、底地・借地権に応じた物件の一部を取得する。
○メリット :資金負担無しで建物を取得可能。建物の専有部分を複数取得することで、分割しやすい資産へ整理可能。買換え特例により、譲渡所得の繰り延べ可能。
○デメリット:土地は実質共有

借地権者Bさんは転居することは考えていないため、底地と借地権を交換するならば、借地権割合に応じて、乙土地のBさん宅が建っている部分をBさん所有とし、残りの土地をAさん所有として甲土地とともにマンション用とすることが提案できる。
もしくは、15年前にBさんは住宅ローンを組んで建て替えを行っているため、現時点で残っている住宅ローン残債とBさん宅の評価額も含めてマンション建設に伴う等価交換を実施し、戸建てからマンションへの転居は伴うものの、住み慣れた街で住宅ローンの負担無しに新しいマンションに居住可能とすることも提案可能と思われる。

4.等価交換方式を選択した場合のメリット

等価交換とは、土地の所有権者や借地権者がその権利の一部をデベロッパーに譲渡し、代わりにデベロッパーが建てたマンション等の一部を取得するもの。
土地の所有権者や借地権者は、資金負担無しで建物を取得可能であり、建物の専有部分を複数取得する場合には、分割しやすい資産へ整理可能

本問の場合、Aさんは自身の相続時にも多額の相続税額が見込まれるものの、預貯金の残高が1,000万円に満たない金額であることから、将来の納税資金不足を懸念している。
一般的に、駐車場よりも賃貸マンションの方が賃貸収入を多く得られるため、納税資金対策としては駐車場からマンション経営に移行した方が良いと思われる。
また、賃貸マンションの専有部分を複数取得していれば、将来の相続発生時に、妻と長女にそれぞれ収益物件を相続させることも可能となる。

5. 関与すべき専門職業家

等価交換方式による譲渡所得の特例適用といった具体的な税金の質問等に関しては税理士、甲・乙土地の譲渡や交換の際の土地・建物の所有権移転登記は司法書士、測量結果に基づいた適正な不動産価格の算定は不動産鑑定士が適当。
また、借地権の譲渡・媒介等における宅地建物取引業法に規定する業務に該当するものについては、宅地建物取引士が適当。

◆この試験問題の公開体験談

【note】tokeihira FP1級実技の当日レポート(Part2)

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