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2021年9月25日実技part2

2021年9月25日実技part2

part2 問題文

●設 例●
首都圏にある甲土地(地目:畑、公簿面積1,200u)で農業を営んでいるAさん(76歳)は、妻Bさん(75歳)および長男Cさん(48歳)家族と甲土地から徒歩数分にある自宅で同居している。長男Cさんは、地元の金融機関に勤務しながら、休日には農作業を手伝ってくれているが、農業を継ぐ意思はない。また、長女Dさん(45歳)も、隣県に購入した自宅で家族とともに暮らしており、実家の農業を継ぐつもりはない。
甲土地は、1992年に生産緑地の指定を受け、税制上の優遇を受けてきた。Aさんは、健康でいるうちは農業を続けたいと思っていたが、最近、体力の衰えを感じることが多くなり、これまでどおり農業を続けていくことは難しいと感じている。来年、生産緑地の指定から30年が経過することを機に、将来の相続も見据えて、今後の甲土地の取扱いについて思いを巡らすようになった。
Aさんは、先日、ハウスメーカーX社の訪問を受け、「甲土地を活用し、賃貸マンションを建築しませんか。弊社は、一括で30年間の借上げシステムを採用しており、安定した不動産所得を得られ、相続対策上も有利になります」との提案を受けた。Aさんは、相続対策上も有利になる点に魅力を感じ、知人である地元不動産会社の社長に相談したところ、「甲土地は最寄駅から徒歩圏内にあり、建売住宅、共同住宅、店舗などの引合いが非常に多い地域である。X社からの提案も含めて、甲土地の有効活用について検討することはよいのではないか」とアドバイスされた。
Aさんは、所有財産に占める甲土地の割合が大きく、相続対策を兼ねた甲土地の有効活用について前向きである。しかし、多額の借入金を負うことまではしたくないと思っている。

【Aさんの所有財産の概要】(相続税評価額、土地は小規模宅地等の評価減適用前)
現預金 :2,000万円
自宅土地:4,500万円(300u)
自宅建物:1,000万円
甲土地 :1億4,000万円(1,200u、宅地としての相続税評価額)

合計  :2億1,500万円
※Aさんの相続に係る相続税の総額(甲土地を宅地評価で計算)は、約3,000万円(配偶者の税額軽減・小規模宅地等の評価減適用前)と見積もられている。

(FPへの質問事項)
1.Aさんに対して、最適なアドバイスをするためには、示された情報のほかに、どのような情報が必要ですか。以下の(1)および(2)に整理して説明してください。
(1)Aさんから直接聞いて確認する情報
(2)FPであるあなた自身が調べて確認する情報
2.生産緑地とはどのような制度ですか。また、どのような税制上の優遇がありますか。
3.X社の提案のような賃貸マンション建築による土地の有効活用のメリット・デメリットや、一括借上方式の留意点について教えてください。
4.相続対策を兼ねた甲土地の有効活用について、あなたはAさんにどのようなアドバイスをしますか。
5.本事案に関与する専門職業家にはどのような方々がいますか。

【甲土地の概要】

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part2 ポイント解説

1. アドバイスに当たって必要な情報

(1) Aさんから直接聞いて確認する情報
甲土地の有効活用について、将来の相続も見据え、妻や長男・長女の意向を確認する必要がある。
生産緑地解除後の固定資産税・都市計画税の負担増加に、X社の申し出で対応できるかどうか。
恐らく賃貸マンションによる不動産所得で対応可能とは思われるが、二次相続後は甲土地が長男・長女2人による共有持分となる可能性もあるため、それぞれの意向を確認しておくことが必要。

(2) FP自身が調べて確認する情報
顧客が関知していない状況や、忘れている事項がある可能性もあるため、物件の登記簿と、現地の確認を行うことで、所有権・抵当権等の権利状況や土地・建物の物理的状況を、実際に確認することが必要。
また、X社の提案である賃貸マンション需要や、サブリースを提供するX社の財務内容・評判等についても、周辺の不動産業者や官報による確認が必要。

2. 生産緑地の制度概要

生産緑地制度は、生産緑地法に基づいて、市街化区域内の一定の要件を満たす土地を、将来にわたり農地・緑地等として残すべき土地として、自治体が指定することで、円滑な都市計画を実施する制度。
生産緑地として指定されると、固定資産税等が減免され、相続税の納税猶予も適用されるが、30年間の営農義務が課せられる。また、生産緑地地区内では、建築物の新築・増改築や宅地の造成等を行う場合、原則として市町村長の許可が必要であり、許可される対象は、農林漁業を営むために必要となる施設の設置等に限られる。

3. 賃貸マンション建築による土地の有効活用のメリット・デメリット、一括借上方式の留意点

◆メリット
甲土地の有効活用により、不動産収入を確保し、貸家建付地として借地権・借家権割合に応じて相続税評価額を抑えることができる。
また、Aさんの相続財産における金融資産の割合を増大させ、賃貸マンションの区分所有が可能になるため、将来の遺産相続の際、妻と子2人への遺産分割を容易にすることができる。

◆デメリット
X社の申し出を受けるには、生産緑地の解除を行う必要があるが、一度解除すると2度と生産緑地の指定を受けることはできず、固定資産税負担額が重くなる(所有する全ての土地が対象となるため、一部だけ指定解除とはならない)。
また、X社は一括で30年間の借上げシステムを提案しているが、サブリース契約では、家賃保証期間が限定されていると、保証期間後に減額請求されることがあるため、不動産収入が当初の想定を下回ることも考えられる。

4.甲土地の有効活用方法に関する提案

X社の提案については、等価交換方式等を採用すれば、多額を借り入れをせずに、自己資金無しで賃貸マンションを建設し、不動産所得を得ることが可能であるが、Aさんは不動産経営の経験が無いならば、X社の提案通りサブリースを利用した方が良い。
ただし、保証期間後に減額請求される可能性や、今後同様に生産緑地解除された土地が多く出回り、周辺の賃貸住宅の供給(ライバル)が増える可能性が高いため、必ずしも安泰な不動産経営とは言えない。

地元不動産会社の社長によれば、甲土地は最寄駅から徒歩圏内にあり、建売住宅、共同住宅、店舗などの引合いが非常に多い地域であることから、単純売却も検討に値する。
Aさんと妻は70代の後期高齢者であり、甲土地の売却益があれば老後資金としては充分まかなうことが可能と思われ、遺産分割も容易となる。
また長男・長女ともに自立しており、不動産収入が必要な状況ではない
相続税対策としては、売却により得られた金融資産について、相続時精算課税や孫への直系尊属からの資金贈与の非課税特例(住宅・教育・結婚子育て)等により、生前贈与していくことが提案可能。

従って、Aさんに甲土地所有継続に強いこだわりが無いのであれば、売却して金融資産にした上で、生前贈与による相続税対策を行うことを提案する。

5. 関与すべき専門職業家

生産緑地の解除申請や登記に関しては司法書士、媒介や契約代理等の宅地建物取引業法に規定する業務に該当するものについては、宅地建物取引士が適当。
本問では、顧客は土地の有効活用方法について不安を感じており、生産緑地の解除や登記を行う際には司法書士の協力を仰ぎ、X社とのサブリース契約や甲土地の売却については、不動産業者の協力を仰ぐべきと考えます。

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