問4 2022年9月実技(資産設計)
問4 問題文
直樹さんの伯母の仲野さんの2022年における所得の金額等が下記<資料>のとおりである場合、仲野さんの2022年分の所得税額として、正しいものはどれか。なお、復興特別所得税および記載のない事項については一切考慮しないものとし、解答に当たっては、所得税額が最も少なくなるように計算すること。
<資料>
●事業所得
売上高 :920万円
必要経費:300万円
●不動産所得
総収入金額:500万円(仲野さんが所有する不動産の貸付けによる収入金額である。)
必要経費 :530万円(借入金利子は含まれていない。)
●譲渡所得
総収入金額:150万円(所有期間が10年である絵画1点の売却によるものである。)
取得費・譲渡費用:130万円
・ 65万円の青色申告特別控除額の適用要件を満たしている。
・ 所得控除額は100万円とする。
<所得税の速算表>
(注)課税される所得金額の1,000円未満の端数は切捨て
1.422,500円
2.462,500円
3.482,500円
4.552,500円
問4 解答・解説
所得税の算出税額に関する問題です。
所得税を算出するには、その人の各種所得から総所得金額を算出し、そこから所得控除合計を差し引いた課税総所得金額に対して、対応する税率と控除額で計算して求めます。
総所得金額は、大雑把に言うと、総合課税の所得を合計し、損益通算した後の金額です。
本問では、事業与所得・不動産所得・譲渡所得は全て総合課税の対象ですので、総所得金額に含めます。
※土地・建物や株式等の譲渡所得は分離課税ですが、別荘やゴルフ会員権、金地金や宝石・絵画の譲渡所得は総合課税です。
さらに、譲渡所得は譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超えると長期譲渡所得となり、総所得金額を算出する際に、その2分の1が合算対象です。
まず、事業所得の金額=売上(収入)金額−売上原価−必要経費−青色事業専従者給与−青色申告特別控除額 ですが、本問では売上原価や青色事業専従者給与に関する記載は無いため、青色事業専従者控除65万円だけを適用することになります。
よって、事業所得=920万円−300万円−65万円=555?万円
次に、不動産所得=不動産収入−必要経費 ですが、不動産・事業・山林・譲渡所得の損失は、給与所得や一時所得等の他の所得と損益通算できます。
ただし、不動産所得の損失のうち、土地取得に要した負債の利子相当部分は、他の所得と損益通算できません。
つまり、借金して土地を購入した場合、その年は収入より支出が上回って不動産所得が損失となっても、借金の利子分は損益通算の対象外ということです。
ただし、本問の場合は必要経費に借入金利子は含まれていないため、損失がそのまま損益通算の対象です。
よって、不動産所得=500万円−530万円=▲30?万円
次に、譲渡所得=譲渡収入金額−(取得費+譲渡費用)−特別控除50万円 です。
よって、譲渡所得=150万円−130万円−特別控除50万円
=20万円−特別控除20万円 →※特別控除は20万円になる
=0円
※特別控除は「最高50万円」ですので、譲渡所得となる収入から取得費や譲渡費用を差し引いた額が50万円以下の場合は、その金額が特別控除額となり、収入より取得費や譲渡費用が上回る場合には特別控除は0円となります。
よって、直樹さんの総所得金額=事業所得+不動産所得+長期譲渡所得×1/2
=555万円+(▲30?万円)+0円×1/2
=525万円
次に、課税総所得金額、算出税額を計算して求めます。
課税総所得金額=総所得金額525万円−所得控除合計100万円=425万円
算出税額=課税総所得425万円×20%−42.75万円=42.25万円
以上により正解は、1.422,500円
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