問27 2022年9月基礎
問27 問題文
居住者に係る所得税の給与所得に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1) 交通機関を利用して通勤する給与所得者が、その通勤に必要な費用に充てるものとして通常の給与に加算して受ける通勤手当のうち、経済的かつ合理的と認められる通常の運賃等の額は、月額10万円を上限として非課税とされる。
2) 物品その他の資産を無償または低い対価により譲渡されたことによる経済的利益や土地、家屋その他の資産を無償または低い対価により借り受けたことによる経済的利益のうち、現物給与とされるものは、給与所得の金額の計算上、収入金額に算入しない。
3) 給与所得者がその年中に支出した特定支出の額の合計額が給与所得控除額の2分の1相当額を超える場合、年末調整により、給与所得の金額の計算上、給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額からその超える部分の金額を控除することができる。
4) その年中の給与等の収入金額が900万円である給与所得者(ほかに所得はない)が23歳未満の扶養親族を有する場合、総所得金額の計算上、所得金額調整控除として5万円が給与所得の金額から控除される。
問27 解答・解説
給与所得に関する問題です。
1) は、不適切。交通機関を利用して通勤している給与所得者に支給する通勤手当は、合理的な運賃額であれば、月額15万円まで非課税です。なお、以前の上限は月額10万円でした。
2) は、不適切。会社によっては、福利厚生の一環として、無利息・低利で従業員に資金を貸してくれますが、通常の借金よりも利息を払わなくて良い=経済的利益がある、として、給与所得として課税されます。
このほか、商品・土地・建物等を無償・低価格で譲り受けたり、借り受けたりした場合も、経済的利益があるとして、給与所得として課税されます。
3) は、不適切。給与所得=給与収入−給与所得控除 ですが、資格取得経費や通勤費等の合計額が基準額(給与所得控除の2分の1)を超過した場合、給与所得からその超過額を特定支出控除として控除可能です。ただし、特定支出控除は年末調整されないため、給与収入や控除額に関わらず、確定申告が必要です。
とはいえ、普通のサラリーマンでは超過するほどの支出は発生しませんし、勤務先の証明も必要なので、該当する人は少数派です。
4) は、適切。所得金額調整控除は、基礎控除の10万円引き上げに伴う給与所得控除や公的年金等控除の10万円引き下げにより、扶養親族がいる人や給与と年金の両方を得ている人の負担増を生じさせないようにする控除です。
子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除は、給与収入(1,000万円超の場合は1,000万円)から850万円を控除した額の10%が、給与所得から控除されるもので、23歳未満の扶養親族や特別障害者を扶養する人が対象です。
→子ども・特別障害者の所得金額調整控除=(給与収入−850万円)×10%
よって給与収入900万円の場合、所得金額調整控除=(給与収入900万円−850万円)×10%=5万円 となります。
よって正解は、4
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