問62 2022年9月応用
問62 問題文
Aさんが、下記の〈譲渡資産および買換資産に関する資料〉に基づき、自宅を買い換えた場合、次の(1)および(2)に答えなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は100円未満を切り捨てて円単位とすること。なお、本問の譲渡所得以外の所得や所得控除等は考慮しないものとする。
(1) 「特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例」の適用を受けた場合の譲渡所得の金額に係る所得税および復興特別所得税、住民税の合計額はいくらか。
(2) 「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」および「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」の適用を受けた場合の譲渡所得の金額に係る所得税および復興特別所得税、住民税の合計額はいくらか。
〈譲渡資産および買換資産に関する資料〉
・譲渡資産の譲渡価額 : 6,000万円
・譲渡資産の取得費 : 不明
・譲渡費用 : 500万円
・買換資産の取得価額 : 4,500万円
問62 解答・解説
居住用財産の譲渡所得のの特例適用後の所得税・住民税に関する問題です。
(1)居住用財産の買換え特例では、売った家より買った家のほうが高ければ課税繰り延べ、逆に売った家のほうが買った家より高い場合は、差額に長期譲渡所得として20.315%課税(買った家相当額は課税繰り延べ)されます(買換え特例は所有期間10年超が適用条件のため、自動的に長期譲渡所得となります)。
※20.315%の内訳・・・所得税:15%、復興特別所得税:所得税額の2.1%、住民税:5%
まず、土地の譲渡所得は、土地や建物を売った金額から、取得費と譲渡費用の合計額を差し引いて計算します。
土地の取得価額が不明な場合は、譲渡価額の5%を取得費(概算取得費)とすることができます。
よって、概算取得費:6,000万円×5%=300万円
ここから特例適用による税額を計算していきますが、Aさんは買換え資産として4,500万円の戸建て住宅を単独名義で購入予定ですから、Aさんの収入金額は、
譲渡価額6,000万円−取得価額4,500万円=1,500万円です。
次に、必要経費(取得費と譲渡費用の合計額)は、
概算取得費300万円+譲渡費用500万円=800万円です。
ただし、この合計額は譲渡資産全体の取得費・譲渡費用ですので、買換え資産との差額(収入額)に応じた金額だけを必要経費として計上することが必要です。
よって、差額分の必要経費=全体経費800万円×収入額1,500万円/譲渡額6,000万円
=200万円
よって、譲渡益=収入額1,500万円−必要経費200万円=1,300万円
所得税=1,300万円×15%=195万円
復興特別所得税=195万円×2.1%
=40,950 円
所得税合計=1,950,000 円+40,950 円=1,990,900 円(100円未満切捨て)
住民税=1,300万円×5%=65万円
所得税・住民税合計=1,990,900 円+650,000 円=2,640,900 円
(2)土地や建物の譲渡所得は、譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超えると長期譲渡所得となり、課税長期譲渡所得=譲渡収入金額−(取得費+譲渡費用)−特別控除 です。
3,000万円の特別控除を適用した場合、上記の計算式の「特別控除」部分は3,000万円となります。
(1)の買換え特例を適用する場合は、譲渡収入は買換え資産との差額とし、必要経費(取得費と譲渡費用の合計額)はその差額に応じた額としますが、適用しない場合は譲渡収入は譲渡価額、必要経費は全額となります。
課税長期譲渡所得=6,000万円−(6,000万円×5%+500万円)−3,000万円
=6,000万円−(300万円+500万円)−3,000万円=2,200万円
次に、軽減税率の特例を受けた場合、課税長期譲渡所得金額のうち6,000万円以下の部分は所得税10%・住民税4%、6,000万円超の部分は所得税15%・住民税5%となります(復興特別所得税を除く)。
※復興特別所得税は、所得税額の2.1%
従って、所得税=2,200万円×10%=220万円
復興特別所得税=220万円×2.1%=4.62万円
住民税=2,200万円×4%=88万円
合計額=220万円+4.62万円+88万円=312.62万円
以上により正解は、(1)2,640,900(円) (2)3,126,200(円)
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