問57 2023年1月応用

問57 問題文と解答・解説

問57 問題文

《設例》の〈収入等に関する資料〉に基づいて、Aさんの2022年分の所得金額等である次の(1)〜(3)をそれぞれ求めなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は万円単位とすること。

(1) 総所得金額に算入される一時所得の金額
(2) 雑所得の金額
(3) 総所得金額

〈資料〉公的年金等控除額の速算表(一部抜粋)

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問57 解答・解説

総所得金額に関する問題です。

総所得金額は、大雑把に言うと、総合課税の所得を合計し、損益通算した後の金額です。

本問では、給与所得と不動産所得、雑所得(老齢基礎年金・確定給付企業年金の老齢給付・個人年金)、一時所得(一時払終身保険の解約返戻金)は全て総合課税の対象ですが、一時払の変額個人年金保険の解約返戻金や、株式の譲渡所得は分離課税のため、総所得金額には含めません。
一時払の養老保険や個人年金保険・変額個人年金などを契約から5年以内に解約(満期による契約満了含む)した場合、金融類似商品として受取差益に20.315%の源泉分離課税となります(復興特別所得税を含む)。
ただし、金融類似商品の対象条件の一つとして、死亡保険金額が満期保険金額の一定倍率以下とされていますので、満期のない終身保険は該当しません。
さらに、一時所得は、総所得金額を算出する際に、その2分の1が合算対象です。

よって本問の場合、一時払終身保険の解約返戻金が、一時所得の収入として総合課税の対象です。
一時所得=収入額−収入を得るために支出した額−特別控除50万円 ですので、
一時所得=960万円−900万円−特別控除50万円=10万円
よって、(1)総所得金額に算入される一時所得の金額=10万円×1/2=5万円

次に、雑所得は公的年金等によるものと、その他の雑所得とで分けて計算します。
本問では老齢基礎年金と確定給付企業年金が公的年金等に該当し、個人年金はその他の雑所得に該当します。

公的年金等の雑所得=年金収入−公的年金等控除額ですが、65歳以上で受け取る公的年金は、年110万円までは公的年金等控除により所得ゼロとなります。
Aさんの年金収入の合計は、老齢基礎55万円+確定給付100万円=155万円>110万円 ですので、公的年金等控除額の速算表により控除額を算出し、所得額を計算します。
公的年金等の雑所得=年金収入155万円−公的年金等控除額100万円=55万円
その他雑所得=収入額−収入を得るために支出した額
      =個人年金180万円−必要経費120万円=60万円

よって、(2)雑所得の金額=公的年金等の雑所得55万円+その他雑所得60万円=115万円

次に、給与所得=給与収入−給与所得控除ですが、Aさんは所得金額調整控除の適用対象者です。
所得金額調整控除は、基礎控除の10万円引き上げに伴う給与所得控除や公的年金等控除の10万円引き下げにより、扶養親族がいる人や給与と年金の両方を得ている人の負担増を生じさせないようにする控除です。
給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除は、給与所得控除後の給与と公的年金等に係る雑所得(いずれも上限10万円)の合計額から、10万円を控除した残額が、給与所得から控除されます。
→給与と年金の所得金額調整控除=(給与所得控除後の給与+年金)−10万円
Aさんの給与所得控除後の給与=1,300万円−195万円=1,105万円
→給与と年金の所得金額調整控除=(1,105万円+55万円)−10万円=1,150万円>10万円 となるため、上限の10万円が所得金額調整控除の金額となります。
従って、Aさんの給与所得=1,300万円−195万円−10万円=1,095万円

また、不動産所得=不動産収入額−必要経費 ですので、
Aさんの不動産所得=500万円−520万円=▲20万円となっており、不動産・事業・山林・譲渡所得の損失は、給与所得や一時所得等の他の所得と損益通算できます。
ただし、不動産所得の損失のうち、土地取得に要した負債の利子相当部分は、他の所得と損益通算できません(建物取得用なら損益通算可)。
つまり、借金して土地を購入した場合、その年は収入より支出が上回って不動産所得が損失となっても、借金の利子分は損益通算の対象外ということです。
よって、土地取得に要した負債の利子10万円は、不動産所得の損失▲20万円から除かれ、▲10万円となります。

ここで、所得税の損益通算は、経常グループ(利子・配当・不動産・事業・給与・雑)と、臨時グループ(譲渡・一時)の各グループ内で損益通算し、控除しきれない損失は各グループ同士で控除し、その後は山林⇒退職の順に控除していきます。
さらに、山林所得の損失は、経常⇒臨時⇒退職の順番に控除します。

以上により、
経常グループの損益通算=給与所得+不動産所得+雑所得
           =1,095万円+▲10万円+115万円
           =1,200万円

総所得金額=1,200万円+総所得金額に算入される一時所得の金額
     =1,200万円+5万円=1,205万円

以上により正解は、(1)5(万円) (2)115(万円) (3)1,205(万円)

第3問          問58

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