問61 2023年1月応用
問61 問題文
Aさんが、以下の〈条件〉で事業用資産である土地を譲渡し、甲土地を取得して、「特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例」の適用を受けた場合、次の(1)および(2)に答えなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は100円未満を切り捨てて円単位とすること。なお、課税の繰延割合は80%であるものとし、本問の譲渡所得以外の所得や所得控除等は考慮しないものとする。
(1) 課税長期譲渡所得金額はいくらか。
(2) 課税長期譲渡所得金額に係る所得税および復興特別所得税、住民税の合計額はいくらか。
〈条件〉
〈譲渡資産および買換資産(甲土地)に関する資料〉
・譲渡資産の譲渡価額:8,000万円
・譲渡資産の所有期間:41年
・譲渡資産の取得費 :不明
・譲渡費用 :700万円(仲介手数料、建物の解体撤去費用等)
・買換資産の面積 :350u
・買換資産の取得価額:1億円
問61 解答・解説
特定の事業用資産の買換え特例に関する問題です。
事業用資産の買換え特例は、事業用の土地や建物等を譲度し、一定期間内に特定の資産を取得し事業用とした場合には、譲渡収入の80%について課税を繰り延べられる特例です。
本問の場合、譲渡価額8,000万円、譲渡費用700万円ですが、譲渡資産の取得価額が不明です。
土地の取得価額が不明な場合や、実際の取得費が譲渡価額の5%よりも少ないときは、譲渡価額の5%を取得費(概算取得費)とすることができます。
よって、概算取得費:8,000万円×5%=400万円
特例により譲渡価額8,000万円の80%を課税繰り延べ=譲渡価額から8割除外、となりますので、
譲渡収入=譲渡価額−譲渡価額×0.8
=8,000万円−8,000万円×0.8=1,600万円
また、取得費と譲渡費用の合計(必要経費)も、繰り延べる収入分にあたる部分は除外しますので、
必要経費=(取得費+譲渡費用)×(収入額/譲渡価額)
=(400万円+700万円)×{(8,000万円−8,000万円×0.8)/8,000万円}
=220万円
譲渡所得=譲渡収入−必要経費=1,600万円−220万円=1,380万円
よって、課税長期譲渡所得の金額は、13,800,000 円
次に、事業用資産の買換え特例は所有期間10年超の土地建物等の譲渡に適用されるため、長期譲渡所得(所得税15%・住民税5%)となります。
また、復興特別所得税は、その年の所得税額の2.1%分です(2013年1月1日から2037年12月31日までの25年間)。
●所得税
1,380 万円×15%=2,070,000 円
●復興特別所得税
2,070,000 円×2.1%=43,470 円
●所得税と復興特別所得税の合計額
2,070,000 円+43,470 円=2,113,470 円
⇒ 2,113,400 円(100 円未満切捨て)
※合計額は、課税所得×15.315%でも算出可能です。
●住民税額
1,380 万円×5%=690,000 円
●所得税と復興特別所得税、住民税の合計額
2,113,400 円+690,000 円=2,803,400 円
以上により正解は、(1)13,800,000(円) (2)2,803,400(円)
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