問34 2023年5月基礎
問34 問題文
不動産鑑定評価基準に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1) 原価法は、対象不動産が建物およびその敷地である場合において、再調達原価の把握および減価修正を適切に行うことができるときに有効な手法であるため、対象不動産が土地のみである場合、適用することはできない。
2) 取引事例比較法は、時点修正が可能である等の要件を満たす取引事例について、近隣地域または同一需給圏内の類似地域に存する不動産に係るものから選択するが、必要やむを得ない場合は、近隣地域の周辺の地域に存する不動産に係るものから選択してもさしつかえない。
3) 収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の価格を求める手法であるため、自用の不動産には適用することはできない。
4) 資産の流動化に関する法律に規定する資産の流動化の対象となる不動産について、鑑定評価目的のもとで投資家に示すための投資採算価値を表す価格は、特殊価格として求める。
問34 解答・解説
不動産の鑑定評価に関する問題です。
1) は、不適切。原価法は、価格時点における対象不動産の再調達原価を求めて評価する方法で、評価の際は、経年劣化や経済的要因による減価修正を行って対象不動産の積算価格を求めます。ここで、対象不動産が土地のみの場合でも、造成して間もない造成地等のように再調達原価を適切に求めることができるときは、原価法を適用可能です。
2) は、適切。取引事例比較法は、対象不動産と条件の近い物件(近隣地域や同一需給圏内の類似地域)の取引事例を収集・選択し、比較して評価する手法です。ただし、必要やむを得ない場合には近隣地域の周辺の不動産を選択することも可能です。
3) は、不適切。収益還元法とは、対象不動産が将来生み出すと期待される純収益の現在価値の総和を求めることで、対象不動産の試算価格(収益価格)を求める手法です。
よって、実際には賃貸されていない物件でも、「もし賃貸に出したらこれだけ儲かるから、これだけの価値がある」として鑑定評価に用いることができます。
4) は、不適切。資産流動化法は、特定目的会社(SPC)や特定目的信託が不動産等を保有・運用する際に、収益の裏付けとして証券や信託受益権を発行する際の手続きやルールを定めていますが、投資家保護の情報開示の観点からで投資家に示すための投資採算価値は、不動産鑑定評価上で特定価格として表示されます。
つまり、不動産の評価額を鑑定する際は、最有効使用(その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用)=「その不動産の所有者にとって最も満足度が高いであろう活用方法」を前提とした価格で評価することが原則(最有効使用の原則)とされていますが、資産流動化法や会社更生法・民事再生法等の法令上の規制に基づく評価は必ずしも不動産の「最有効使用」に基づくものではないため、特定価格として表示するわけです。
なお、特殊価格とは、文化財や公共施設等の一般的に市場性を有しない不動産を評価する価格です。
よって正解は、2
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