問45 2023年5月基礎

問45 問題文と解答・解説

問45 問題文

相続の単純承認と限定承認に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1) 相続人が、自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内に、相続の承認または放棄の意思表示をしないまま、相続財産である建物を契約期間1年で第三者に賃貸した場合、その相続人は単純承認したものとみなされる。

2) 限定承認をした場合、相続財産に譲渡所得の基因となる資産があるときは、被相続人がその財産を相続人に時価で譲渡したものとみなされるため、相続人が準確定申告をしなければならないことがある。

3) 限定承認は、共同相続人のうちに相続の放棄をした者がいる場合、その放棄者を含めた共同相続人の全員が共同して家庭裁判所にその旨の申述をしなければならない。

4) 限定承認の申述が受理された場合、限定承認者または相続財産管理人は、受理された日から所定の期間内に、すべての相続債権者および受遺者に対し、その債権の請求の申出をすべき旨を各別に催告しなければならない。

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問45 解答・解説

相続の承認に関する問題です。

1) は、不適切。相続人が相続の開始後に、被相続人の借金などの相続債務を弁済するために相続財産の一部を売却した場合、単純承認したものとみなされますが、短期賃貸借契約(土地は5年以下、建物は3年以下、動産は6ヶ月以下)の締結や建物の修繕等であれば、単純承認したとはみなされません。例えば、相続開始後空き家状態になってしまった実家があり、相続を承認するか放棄するか決めかねているのであれば、建物が痛まないよう第三者に賃貸しておくことも可能ということです。

2) は、適切。限定承認をした場合、相続財産に不動産のような譲渡価値のあるものがあるときは、被相続人から相続人へ時価で譲渡したとみなされるため、被相続人に対してはみなし譲渡所得として課税(準確定申告が必要)され、相続人が後日その不動産を譲渡する際は、相続時の時価で取得したものとして譲渡所得が計算されます。

3) は、不適切。相続人が相続を放棄すると、相続開始のときから相続人ではなかったこととされます。また、限定承認は、相続の開始のあったことを知ったときから3ヶ月以内に、相続人全員で家庭裁判所に申述しなければなりません。
よって、共同相続人の中に相続を放棄した者がいる場合、限定承認は相続放棄した者以外のみで共同で行うことが必要となります。

4) は、不適切。家庭裁判所に限定承認の申述が受理された場合、限定承認者は受理日から5日以内、相続財産管理人は管理人選任審判の告知日から10日以内に、全ての相続債権者・受遺者に対し、限定承認したことと、2ヶ月以上の一定期間内での請求申出の公告が必要です。債権の請求の申出は官報に掲載されることで公告されたことになるため、債権者等に個別に催告する必要はありません。

よって正解は、2

問44      問46

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