問47 2023年5月基礎
問47 問題文
相続税の税額控除に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1) 在外財産に対する相続税額の控除(外国税額控除)による控除額は、外国の法令により課された相続税に相当する税額を、原則として、その納付すべき日における対顧客直物電信売相場(TTS)により邦貨に換算した金額となる。
2) 被相続人を特定贈与者とする相続時精算課税の適用を受けた相続人は、相続税額から相続時精算課税の適用を受けた財産に係る贈与税相当額を控除することができ、相続税額から控除しきれない場合は税額の還付を受けることができる。
3) 未成年者である相続人が、過去に未成年者控除の適用を受けたことがある場合、その者が2回目に受けることができる未成年者控除額は、「(18歳−相続開始時年齢)×10万円」の算式により計算した金額である。
4) 被相続人が当該相続の開始前10年以内に開始した相続により財産を取得していたときは、当該被相続人から相続により財産を取得した相続人は、相続税額から当該被相続人が納付した相続税額に所定の割合を乗じて得た金額を控除することができる。
問47 解答・解説
相続税の税額控除に関する問題です。
1) は、適切。外国税額控除は、国内外での二重課税を調整するため一定額を算出税額から控除するもので、所得税・法人税や相続税の算出時に適用されますが、相続税の外国税額控除は、国外で課された相続税相当額を、現地法令による納付日のTTSで円換算して算出します。
なお、金融機関との取引では顧客が円を外貨に換える際の為替レートはTTSで、顧客が外貨を円に換える際の為替レートがTTBですが、外国税額控除ではTTS(現地で納付するために円を外貨に換える)、在外財産の相続税評価ではTTB(国内での評価額を算出するために円換算する)を用います。
2) は、適切。相続時精算課税を選択した場合、相続税から相続時精算課税により贈与時に納付した贈与税額を差し引いて相続税を算出しますが、贈与時の贈与税額が相続税額よりも上回っていたときは、差額が還付されます。
3) は、不適切。未成年者控除とは、相続人が未成年者のとき、相続税額から一定金額を差し引くことですが、控除額はその未成年者が満18歳になるまでの年数1年につき10万円で計算されます。また、未成年者が複数回相続した場合には、各相続時に適用可能ですが、2回目以降の相続では過去に適用済みの金額は控除対象外となります。
4) は、適切。父親を亡くした数年後に母親も亡くすといったように、立て続けに相続が発生した場合、同じ相続財産に対して短期間で複数回の相続税負担が発生してしまいます。このため、一次相続から10年以内に二次相続があると、二次相続では一次相続で納付した相続税の一部を控除(相次相続控除)することができます。なお、相次相続控除の対象は、二次相続における被相続人が、一次相続時に納付した相続税です。
つまり、父親を亡くした数年後に母親も亡くした場合、子の相続税から控除可能な相次相続控除の対象は、母が父の相続時に納付した相続税ということになります。
よって正解は、3
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